70代投資家の実像 男性「日本株」、女性「毎月分配型ファンド」選好が鮮明 フィデリティ投信「投資家3,000人アンケート」結果

概 況


NISA導入6割が「変化なし」と回答

フィデリティ退職・投資研究所 所長 野尻哲史氏

野尻哲史氏

フィデリティ退職・投資教育研究所 所長 野尻哲史氏

昨今、高齢者の投資勧誘に関する新たなガイドライン制定が話題に上っている。フィデリティ退職・投資教育研究所は今年9月上旬に実施し、3,297人から回答を得た「投資家アンケート」の結果から70代の回答者545人のデータを抽出、投資に関する傾向の分析を行った。

(調査概要)
調査期間:9月6-11日
調査対象:20-79歳の3,297人
調査方法:インターネット

本アンケートがインターネットで実施されていることによるバイアスもあるとはいえ、多くの設問で投資家全体と70代投資家とに大きな差がないことが判明した。現在の70代は「年齢を感じさせない投資家」と言えるが、中で特徴的だったポイントを紹介したい。

(1)投資に対する考え方/70代男性は「値上がり」を、女性は「分配」を志向

投資に対する考え方について10項目の選択肢を用意。年齢を問わず「長期投資をいつも心がけている」「投資はタイミングが最も大切だと考えている」と、全く対照的な考え方がそれぞれ4割以上を占めており、これは、70代に限定してもほとんど変わらない。

ただ、70代男性では「投資は値上がり益を重視している」人が30.4%と全体よりも10ポイントほど高く、70代女性では「投資は値上がりよりも配当や分配金、株主優待で決める」との考え方が30.6%と全体の19.7%を大きく上回っている。

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(2)保有する商品/70代男性は「株式」、女性は「毎月分配型投信」が人気

この設問についてのみ、年齢別で大きな差が見られる。20代、30代の男性がFXや債券に投資する比率が高い一方で、高齢者は日本株や分配型投信に投資している比率が高くなっている。

70代男性の84.1%が日本株を保有しており、平均から13ポイントも高くなっている。逆に、外貨預金は13.4%と平均から5ポイント低く、FXも平均より4ポイント強低い。70代男性は為替リスクを回避する姿勢、逆に言えば、いわゆるホームカントリーバイアス(国内資産への偏り)が相対的に強いように見受けられる。

一方、70代女性の特徴としては、43.5%が毎月分配型投信を保有しており、平均より13ポイントも高くなっていることが挙げられる。外国債券も20.4%と平均より9ポイント高い。「①投資に対する考え方」の設問で配当・分配金・株主優待を求める姿勢が相対的に強かったことが、投資対象に明確に表れている。

fig2

(3)NISA導入に伴う変化/70代女性は優遇税制廃止を嫌気

2014年からスタートするNISA(少額投資非課税制度)で投資家は投資態度を変化させるか否かを聞いた結果、年齢別に大きな違いは見られなかった。全体、70代ともに6割が「特に変わらない」と回答している。

ただ、70代女性は「優遇税率が20%に引き上げられるので投資をやめようと思う」との回答者が10.2%と、全体の5.3%を上回っている。70代はNISA導入を評価するよりも、優遇税制の廃止を嫌気する傾向が相対的に強い。

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(4)参考/70代投資家のプロフィール

(年収と保有資産)
70代投資家は退職後に年金生活を続けながらも保有している資産で投資を継続しているという一般的な姿が、アンケート結果か]らも見られた。70代男性の年収は300万-500万円の層が最も多く、平均は399万円。70代女性は71.5%が年収300万円未満で、平均年収は238万円。年収は年金によるものが中心と思われる。保有資産の平均は70代男性が2,250万円、70代女性が2,837万円。

(評価益)
高齢者ほど投資経験は長く、バブル崩壊の過程も経験している可能性があり、その分、投資成果は芳しくないようだ。アンケート時の損益状況を聞くと、このところの株価上昇や円安でも過半数が「評価損を抱えている」(70代男性57.4%、女性55.4%)としており、投資家全体の45%を10ポイントほど上回っている。

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