債券セミナー「クレジット運用の新潮流」 インベスコ投信投資顧問

概 況


低金利の継続、景気回復で好投資環境

クレジットや運用担当者が語る

インベスコ投信投資顧問は先に債券セミナー「クレジット運用の新潮流」を開催した。当日は、企業年金/公的年金向けにコンサルティングを行う野村証券フィデューシャリー・サービス研究センターの荻島誠治氏が「年金ポートフォリオにおけるクレジット分散投資戦略の意義」を語り、その後、インベスコ・フィックスト・インカム(IFI)のヘッド・オブ・グローバル・ハイ・インカム兼シニア・ポートフォリオ・マネジャーのジョセフ・ポルテラ氏、ヘッド・オブ・フィックスト・インカム(ロンドン)のグレッグ・フリーア氏らが登壇した。IFIは160人超の債券運用プロフェッショナルを世界9拠点に配置。主要債券セクターを網羅し、そのほとんどをアクティブ運用している。運用資産残高は2,340億ドル。ここではセミナーで語られたポイントを紹介したい。

【年金ポートフォリオにおけるクレジット分散投資戦略の意義】

荻島誠治氏

荻島誠治氏

野村証券フィデューシャリー・サービス研究センター
フィデューシャリー・マネジメント部 荻島誠治部長

■なぜいまクレジット投資なのか

「世界的に金利の縮小余地が低下していく中で、分散リターン、金利上昇といったことを国債だけのポートフォリオで対応していくには限界がある。その中で、年金は(1)信用リスクプレミアムの享受、(2)安定した高いインカムリターンの確保――の点から海外クレジット(エマージング債券、ハイイールド債券、バンクローンなど)への投資を考える余地があるのではないかとみている」

■クレジット投資を考える上でのポイント

「クレジット投資にあたっては、過去の平均リターンだけを見て投資戦略を決めることに陥らないようにすることが大切。金利や為替など時代背景によってリターンが変わってくるため、各セクターのリターンの要因を明確に把握しておくことが大変重要になる」

「クレジット投資の位置付けについては、いろいろな整理の仕方があるが、その1つの手法として例えば『インカムゲインとキャピタルゲイン』、あるいは『金利リスクとクレジットリスク』というような2つの選考軸を基準にしてそれぞれのセクターのあり方を整理していく方法がある」

「また、ポートフォリオにおいてクレジット投資は、目的に応じて債券代替や株式代替に位置付けることができるが、アセットクラスの中には、ハイイールド債券やバンクローンのように、株式との相関が非常に高いものも含まれているため、ポートフォリオ全体のリスク管理が重要になってくる」

■クレジット投資における良いファンド、マネジャーの見分け方

「クレジット投資の運用スキルは、(1)組織・チームの安定性、(2)運用・ディスクロージャーの透明性、(3)デフォルトリスクの管理能力、(4)テールリスク(確率は低いが、発生すると非常に巨大な損失が出るリスク)の管理能力、(5)流動性リスクの管理能力――の5つの能力の集合体。その結果としてパフォーマンスに差が出てくる。例えば、デフォルト管理能力は、クレジットアナリストの充実度、分散投資度で変わり、デフォルト発生時の回収率などでも試される」

【クレジット市場の現状と今後の見通し】

ジョセフ・ポルテラ氏

ジョセフ・ポルテラ氏

インベスコ・フィックスト・インカム
ヘッド・オブ・グローバル・ハイ・インカム兼
シニア・ポートフォリオ・マネジャーのジョセフ・ポルテラ氏

■クレジット市場を取り巻く環境

「現在のマクロ経済の根底にあるのは、デ・レバレッジ(レバレッジの解消)であり、これが経済の大きな足かせとなっている。従って、景気の上振れリスク、あるいは、インフレリスクについては当面のところは低いのではないかとみている。金利については基本的にはレンジ取引で、米国でいえば3%を上限とした水準での推移を予想している。また、米国のテーパリング(量的緩和縮小)はいずれ起こるとは思うが、利上げに関しては2015年まではないであろう、と現在は見立てている」

「足元の環境に目を移すと、現在の低金利の水準、あるいは、穏やかながらもプラスが続いている景気環境などを考えると、クレジット投資全般には非常に好環境といえるのではないかと考えている。また、先日先送りされたテーパリングも、クレジット投資にはプラスに働く」

■最も有望なセクター「ハイイールド債券」

「現在の状況をファンダメンタルズ、需給、バリュエーションなどを考えると、現在、われわれが最も有望と考えるセクターが『ハイイールド債券』。しかし、これらのクレジット環境をサポートしてきた状況がいつまでも続くわけではない。特にここ数年、市場をドライブしてきたβ要因として一部中央銀行による流動性の供給も挙げられるが、景気・経済が平準化していく中で、いずれ吸収されていくものであるということを考えると、個別銘柄の選択が非常に重要になろう」

【インベスコ マルチ クレジット運用戦略について】

グレッグ・フリーア氏

グレッグ・フリーア氏

インベスコ・フィックスト・インカム
ヘッド・オブ・フィックスト・インカム(ロンドン) グレッグ・フリーア氏

■変化に応じ迅速・効率的に配分

「そういった中でIFIは、従来から重きを置いているボトムアップのリサーチチームの運用能力を一層拡充させることに取り組んでいる。また、さらにトップダウンのリサーチをさらに強化することで、ボトムアップリサーチのサポート体制をさらに充実させることに取り組んでいる。これによりリサーチ力全体の向上を図ることで状況に対応していく」

「リサーチの総合力を高めることで、これまで個々の商品において卓越した商品の提供に努めてきたが、ここからもう一歩進んで各セクターの相対価値を考えながらクレジット市場全体への総合的なエクスポージャーを提供するという債券投資のソリューションの提供ができるようになった。それが『マルチセクタークレジット戦略』ということになる。当ファンドは状況の変化に応じて迅速に効率的に配分できる体制になっており、最近はテーパリングの先送りを受け、売り込まれていたハイイールド債券やエマージング債券の相対評価を引き上げた」

「個々のセクターファンドにおいて優れた商品を提供するのは当然のことだが、そこにとどまらず、各セクターの配分をお客さまのリスク・リターンニーズに合わせながら、その時々の市場環境を考慮して、最も適した形で提供するのが、『マルチセクタークレジット戦略』のコンセプトとなっている。クレジット市場においてもβの余地が徐々に縮小してきているので市場へのアプローチの1つとして参考にしていただけたら幸いだ」

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