日本FP協会 金融経済教育推進に向けさまざまな施策打ち出す

概 況


小学校の段階からシニアに至るまで幅広い世代を対象に

伊藤宏一専務理事

伊藤宏一専務理事

伊藤宏一専務理事が語る

特定非営利活動法人(NPO法人)日本ファイナンシャル・プランナーズ協会(略称:日本FP協会、白根壽晴理事長)がこのほど行った記者説明会で、伊藤宏一専務理事が語った、日本FP協会が行っている金融経済教育の推進に関連した発言を紹介する。

昨年6月にG20ロスカボス・サミットが開催され、この時に金融教育の国家戦略について声明が出され、G20を中心に世界中で金融教育を強化していくという方向が打ち出された。これを受けて昨年11月からわが国の金融庁の金融研究センターの中に金融経済教育研究会が設立され、これが半年かかって4月末に金融経済教育に関する報告書が出された。基本的には金融知識を重視するというところから適切な金融行動、知識がたくさんあるのはよいが、最終的には適切な金融行動をとらなくてはいけない。それを重視した金融行動をやっていこうということが打ち出された。これに合わせて6月7日に金融経済教育推進会議が設置された。この金融経済教育推進会議は、金融庁、消費者庁、文部科学省、そして金融関連団体、その中に日本FP協会も入っているが、有識者で構成されるもの。6月7日以降、現在、新しい金融経済教育の推進についてさまざまな施策の検討が行われている。G20サンクトペテルブルク・サミットでもロシアの財務大臣とOECD(経済協力開発機構)の担当者が会見で、世界中の金融経済教育の国家戦略がどれだけ改善しているかというリポートを発表している。G20のうち、7カ国がこの1年で大いに改善しているという内容のリポートだ。7カ国の中には日本も入っている。こういうことがあるのは、国際的に、リーマン・ショック後に金融に関して3つの大きなポイントがあるからだといわれている。1つ目は金融機関の規制問題。こちらはさまざまに行われている。2つ目は消費者の保護。3つ目は「3本の矢」というべき、賭して金融教育を国のレベルで推進していくことが金融を改善していくために重要だという位置付けとなっている。私ども日本FP協会も、こうした動向を受けて金融経済教育推進会議のメンバーとしてわが国の金融教育を推進するため、さまざまな施策を現在行っている。

■「60代から始めるマネー&ライフプラン」発刊

まずご紹介したいのは小冊子のご案内だ。「60代から始める マネー&ライフプラン」を発刊した。これは日本FP協会が金融経済教育を推進するために、現在まで小学生からシニア向けまでライフステージに合わせてさまざまな小冊子を作ってきた。この冊子は、当協会が今まで作ったリタイアメントプランニングの対象年齢より上の年代の方々、つまり65歳以上のシニアの方々を対象としたものだ。ご案内の通り、団塊の世代の皆さまがあと2年、2015年になると全員が65歳以上となる。この65歳以上のシニアの方々のリタイアメントプランが極めて重要となってくるという段階にある。現在、65歳の方々の平均余命を見ると男性で83歳まで、女性で88歳までの平均的な生涯期間となっていることで、その期間を健康で、お金も困らず、相続もあるいは事業承継もきちんとできるような、あるいは介護のことも心配しないでカバーできるようなということで、この小冊子を作った。

■病院の患者向けにも小冊子を配布

日本FP協会では金融経済教育の基準である「パーソナルファイナンス教育スタンダード」を作っており、この習得項目も踏まえて、「60代から始める マネー&ライフプラン」を作っている。この小冊子の頒布については一般の方に、あるいは「FPの日(R)」(※)で頒布するほか、病院の患者向けにも配布する。昨年、金融庁で高齢化社会の金融サービスに関する官民ラウンドテーブルが半年にわたって行われ、これを受けて病院の中で中立的なファイナンシャル・プランナーが患者のお金の相談に乗るということをやりましょうということが決まった。現在、都内の2つの病院で患者のお金の相談を実施している。こうした病院にもこの冊子を配布して、病気でいろいろな不安を抱えている方々にお役に立ちたいと考えている。

■投資信託の入門者向けサイト構築を検討

また、金融経済教育推進会議関連の作業について、金融庁がパーソナルファイナンスの国民基準を作るといことで、関連団体と併せて、目下、どの年齢で、どういうことを金融経済教育として教わるべきか、という国民版のスタンダードづくりを、金融広報中央委員会や全国銀行協会などと一緒になって作業を進めている。来年3月にはどの年齢で、どういうことを勉強するかという体系ができる予定になっている。これと併せて私ども協会が担当しているのが、投資信託の個別商品の比較情報の構築というテーマである。金融庁の指導の下に、投資信託協会の投信総合検索ライブラリーを活用して、投資信託の個別商品の利用・選択を行うにあたっての視点、着眼点を実践的に指南するウェブサイトの年度内の立ち上げを目指す。日本FP協会のサイトの中に、そうしたものを作るというようなことで、私ども協会の投資信託の専門家が集まってプロジェクトチームを作って、現在検討している。

■パーソナルファイナンス関連の書籍

もう一点、パーソナルファイナンス関連の書籍を紹介したい。今年は実務家や大学の研究者の方々に読んでいただくために2冊の書籍を発行、または発行する予定である。1つは今年春に出版した書籍で、これは日本FP学会とともに作成した、実学としてのパーソナルファイナンス。パーソナルファイナンスの体系的・理論的な書籍といえる。もう一つは日本FP協会が監修した、「パーソナルファイナンス―プロフェッショナルFPのための理論と実務―」という翻訳書が10月1日に発行された。アメリカのCFP(R)で、大学の教授でもあるルイス・J・アルトフェストという方が書いたパーソナル・ファイナンシャル・プランニングという本の翻訳である。わが国で初めてパーソナルファイナンスの体系的な翻訳書が刊行されるということである。経済学ではさまざまな著名な翻訳書はあるが、パーソナルファイナンスではこれまでなく、今回が初めてとなる。アメリカの本の中でもライフプランニングと行動ファイナンスを特に重視して、日本の現状にあった内容の展開をしている本であり、ぜひ注目していただきたい。以上、日本FP協会では夢をかなえるために役立つファイナンシャル・プランニングの重要性と、FP(ファイナンシャル・プランナー)という職業がこの夢をかなえるためサポートする存在ということを認知していただくために小学校の段階からシニアに至るまで、幅広い世代を対象にパーソナルファイナンス教育、金融経済教育の推進・知識の普及を行っている。今後も引き続き広く、生活者に向けてファイナンシャル・プランニングの啓発を図っていく。

※「FPの日(R)」=日本FP協会は毎年11月第1土曜日を「FPの日(R)」と定めており、2004年から毎年開催している。今年は11月2日が「FPの日(R)」(後援:金融庁)。今年で記念すべき節目の10回目を迎えた。前後合わせて約1カ月間にわたって、「ひとりひとりの夢をかたちに」をスローガンに、FPが地域の生活者を対象とした日常生活に役立つくらしとお金に関するセミナーや相談会などを各都道府県(50支部)で開催する。参加は無料。今回は生活者が今知りたいNISA(少額投資非課税制度)や、増税を視野に入れたライフプランなどをテーマに行う。昨年は全国でセミナーに7,208人、相談会に590組が来場した。

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