意外に少ない「年内売却」組 フィデリティ投信「投資家3000人アンケート」結果

概 況


フィデリティ退職・投資研究所 所長 野尻哲史氏

野尻哲史氏

投資優遇税率廃止で投資家はどう動くか

フィデリティ退職・投資研究所 所長 野尻哲史氏

投資に関する税率が2014年1月から本則の20%に戻ることに合わせて、フィデリティ退職・投資研究所は投資家を対象に「投資優遇税制廃止に伴う年内の投資行動」に関するアンケートを実施した。9月27日に公表された同アンケート結果を抜粋して紹介する。

(調査概要)
「投資優遇税制廃止に伴う年内の投資行動」
調査期間:9月6-11日
調査対象:20歳-79歳の3297人
調査方法:インターネット

年内の投資行動/「売却」は25.8%にとどまる

2003年に導入された優遇税率が廃止され、投資の儲けに対する税率が10%から20%に引き上げられることに伴い、投資家はどう行動するかを聞いた。ちなみに優遇税制廃止を「知っている」と回答した投資家は80.5%に達している。

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私自身は、節税効果等を考慮して、多くの個人投資家は年内に利益を確定させる行動に出ると想定していた。ところが実際には、「年内に保有資産を全部売却して投資から撤退する」5%、「評価益の出ている投資対象のみを売却して年内に買い戻す」7.3%、「評価益の出ている対象のみ売却して2014年に再度投資する」13.5%と、年内に売却すると答えた投資家は25.8%にとどまった。逆に、「長期投資を考えているので現状で売却するつもりはない」との回答が37.5%と全体の3分の1に達している。「評価益の出ている資産がないので何も特別な行動をしないつもり」との回答も14.9%と高めだ。

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そして年内売却を予定する投資家のうち約半分が2014年に買い戻すことを考えている。これは2014年からNISA(少額投資非課税制度)がスタートすることを念頭に置いているようだ。

(1)投資「損益」別

年内に資産を売却して優遇税率のメリットを受けるためには、利益が出ていることが大前提。そのため、現在の投資評価益の水準は年内の投資行動の大きな決定要因になると考えられる。事実、評価益の出ている投資家は年内売却をすると考える比率が高く、まだ評価損を抱える投資家の3分の1は「評価益の出ている資産がないので何も特別な行動をしないつもり」と答えている(図1)。

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ちなみに回答者の約半数にあたる1564人が「評価益が出ている」「何とかトントンの水準まで戻ってきた」と回答しているあたりも興味深い。

(2)投資「商品」別

複数回答で聞いていることもあり、商品別の特徴はあまり見られない。強いて挙げれば、外国の株・債券の保有者が年内売却を予定している比率が高いこと、投資信託の保有者は「長期投資を考えているので現状で売却するつもりはない」と考えている比率が高い(図2)。

(3)投資「実績」別

これまでの投資の実績で見ると、比較的頻繁に投資をしている人、最近になって再開した人ほど年内に売却を予定する人の比率が高くなっており、買い戻しは2014年と考える人の比率も高い(図3)。一方、この1年以上売買をしていない人、積立投資を行っている人では年内売却を計画している人は2割に満たない。

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「年内売却」回答者の実施時期

年内に資産の売却を予定している投資家は約半数が時期を明示している。年内の投資行動に関して「わからない」と回答した526人を除く2771人に、その行動の時期を聞いた(図4)。

「既に実施した」「9月に実施する」との回答が全体の16.4%。10月以降の3カ月間での売却を考えている投資家は全体の12.9%となった。すなわち、年内に一度売却することを想定している投資家のうち6割近くが既に売却している。ただ、そのほかに「時期は特定できないが、もう少し株価が上がったら」売却するとの回答が全体の5割近く存在することも念頭に置く必要がありそうだ。

口座開設直前のNISAの動向

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投資商品/半数以上が「決めかねている」

4月にも同内容のアンケートを行ったのだが、この半年間で、NISA口座内で保有したい商品が大きく変わっている(図5)。「ハイリスク・ハイリターン商品」「ミドルリスク・ミドルリターン商品」などと商品性を特定している人の比率が低下。代わりに「もう少し時間が経ってから検討する」との回答が増加している。NISAの認知度は4月の36.6%から9月は86.5%にまで高まったものの、内容がかなり複雑でまだ十分に理解できず、商品を決めかねている投資家の姿がうかがえる。

図6 クリックで拡大

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口座開設/「手数料」よりも「付き合い」重視

NISA口座を開設する金融機関についても「先送り」の傾向が強まっているようだ(図6)。こちらも4月調査との比較で、「今はまだ決めるつもりはない」が18.2%から23.9%に上昇している。

一方で、「オンライン取引ができる」「手数料などのコストが安い」などの“機能”を金融機関選びのポイントとして挙げた人の比率が低下。代わりに、「これまでの付き合いのある」を選択のポイントに挙げた回答者が35.8%から40.6%に上昇している。

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