5年ぶり日本株F新規設定 フィデリティ投信

概 況


フィデリティ投信 運用本部運用部長 アレキサンダーR・トリーヴス氏

アレキサンダーR・トリーヴス氏

アレキサンダーR・トリーヴス氏

オリンピックに振り回された1週間。そろそろ日本株の「本質」に立ち返りたい。

フィデリティ投信は9月26日、日本の中小型株を主要投資対象とする「フィデリティ・日本変革ファンド」を新規設定する。同社が日本株ファンドを設定するのは5年ぶり。これに先立ち8月30日に報道関係者を集めて説明会を開催、運用本部運用部長のアレキサンダーR・トリーヴス氏が日本株式市場の現状と課題を語った。

当社では国内外の各種リスクを勘案した結果、日本の経済成長は中長期的に持続可能と考える。確かにアベノミクスの実現には多くの疑問符がつく。しかし、すべての懸念が解消されてからでは投資機会を逸失してしまう。

政策の進捗具合を適時チェックすれば、成果がGDP(国内総生産)成長率などの数値に表れる前に投資行動が起こせる。日本が成長軌道に乗るために必要な主要チェックポイントを挙げたい。当社は今後も個別企業の調査・分析を通じて、日本復活へのロードマップの行方を継続的に確認していく。

ポイント(1)賃金

リフレーションには賃金上昇が必須。日本の賃金は過去20年間横ばいだが、米ドルベースでは下降トレンドが続いていた。

ポイント(2)雇用

雇用状況の好転は景気回復の第一歩。足元では有効求人倍率の改善に伴い、百貨店や小売店の売上高など消費関連の各種指標も回復傾向にある。

ポイント(3)不動産価格

東京のオフィスは空室率が低下して賃料が上昇傾向に。住宅着工件数は2008年10月以来の最高水準にあり、今年は直近5年間で初めて年間100万戸を超えることが見込まれている。

ポイント(4)国内消費

アベノミクスの始動以来、消費者信頼感指数は急速に改善している。ただし、この動きが企業部門の設備投資などに反映されるかどうかが重要。

ポイント(5)設備投資

安倍政権は民間設備投資目標額70兆円を掲げたが、そのためには法人税減税が不可欠だと考える。そもそも企業は手元資金を過去最高レベルにまでため込んでおり、有効活用を検討すべき。東証1部上場企業の平均ROE(株主資本利益率)は5%ほどだが、目指すべきは10%超。

ポイント(6)雇用制度改革

労働力を増やすための新たな措置が待たれる。しかし、移民の労働参加率が日本で増えることは考えづらく、代わりに、女性の社会参画が経済に大きなインパクトをもたらすことが期待されている。

ポイント(7)税制改正

日本の実効税率は主要国よりも高く、これを国際標準にまで引き下げることで、企業の国内設備投資が促進されるだろう。

ポイント(8)TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)

国内構造改革を促すカタリストとなる可能性を秘めるTPP。安倍首相が既得権を持つ参加反対勢力を押さえ込めるかどうかが焦点に。

多くの海外投資家は現在、日本に対する投資タイミングを待っている状態だ。その判断は足元の状況だけでなく、今回紹介したチェックポイントをベースにバランスよく将来を展望することが重要になってこよう。

戻る