日本株市場の見通しと運用戦略 JPモルガンAM セミナー 

概 況


日本株は中長期上昇トレンドへ

水澤祥一氏

水澤祥一氏

JPモルガン・アセット・マネジメント
PRG運用本部長、ポートフォリオ・マネジャー 水澤祥一氏

先ごろ衆議院選挙という重要イベントを無事通過した安倍政権。足元では引き続きボラタイルなマーケット環境が続くも、中長期的には「日本株式は上昇するポテンシャルを秘めており、足元のバリュエーションなど条件も悪くない」と語るのが、JPモルガン・アセット・マネジメントPRG運用本部長、ポートフォリオ・マネジャーである水澤祥一氏だ。今回は同社が7月25日に開催した「記者ブリーフィング」における水澤氏の講演内容を抜粋して紹介する。

日本株式市場の見通し

結論としては、昨年11月の衆議院解散を基点とした日本株上昇が中長期的に持続するとみる。その根拠をいくつか示したい。

根拠(1)安定した政治のリーダーシップ

先日の参議院選挙でようやく国会のねじれが解消した。これは安倍首相の長期安定政権、ひいては日本の景気回復のためにも絶対的な条件だったことから“まずはひと安心”といった状況に。
当社はこれまで数年間、日本株投資について意見を求める海外投資家に対して「政治には期待しないでほしい」と言い添えてきた。1982年以降に18人もの首相が登場した不安定な政権下では、構造改革は望むべくもないと考えてきたからだが、昨年の政権交代、さらに今般のねじれ解消を受けて、現在はそのメッセージのトーンをだいぶ変えている。

根拠(2)異次元の金融緩和

日銀は4月、黒田新総裁の下で行われた初の決定会合で「2年以内に2%のインフレ目標達成」をコミットするなど、市場の期待をはるかに上回る緩和策を打ち出した。当社も大きなサプライズをもってこれを受け止めたが、その後のデフレ脱却において、これが非常に重要なステップに。為替市場で円安が進み、それまでの“行き過ぎた円高”が修正された。

根拠(3)効果を表しつつあるアベノミクス

アベノミクスは実際に経済に好影響を与えているのか、という質問を海外投資家から受ける。マクロ経済が政策に反応するには時間がかかるものだが、足元ではミクロレベルでの反応が散見される。
ブランド品や百貨店の売上高は前年比20%台またはそれ以上の伸びを示し、金融関連サービスの派遣スタッフの求人数や国際線ビジネスクラスの利用客は増加、高級ホテルの稼働率・平均客室料は上昇傾向に。これらは景気回復のごく初期段階だが、中長期的にはすそ野拡大が期待される。
株価も為替も昨年来大きく動いているが、長期的なスパンで見れば「バブル」が懸念される水準にはない。日本株式については今後も引き続き堅調な推移が続くとみる。

外国人売買動向

図1 外国人売買動向

根拠(4)いまだ懐疑的な海外投資家

海外投資家は依然として日本に懐疑的な見方が多く、その姿勢は売買状況にも表れている。小泉政権時代の強気相場には40兆円ほどの買い越しがあったものの、足元では10兆円ほどの買い越しにとどまる(図1)。今後さらなる改善が続けば、海外投資家の本格参入が期待される。

根拠(5)株式のバリュエーション

日本株は昨年来かなり上昇しているものの、同時に企業業績も急回復。先進諸国と比べて東証1部の1株利益成長率は2013年予想が46%と高く、PER(株価収益率)は14年3月期予想が14.1倍、15年3月期予想が12.8倍と、米国株(S&P500)の15.3倍、13.8倍に比較しても若干割安。今のペースでの企業業績の拡大が続けば、来年度はかなり高い確率で過去最高を更新することが期待され、中長期的にはPBR(株価純資産倍率)も割安といえる。

長期上昇相場入りのタイミング

株価は、基本的には業績が決めるもの。企業業績が伸び続ければ株価も上昇トレンドを維持するだろう。長らく続いた過度な円安水準が修正された今、隠れていた日本企業の実力がようやく顕在化していくフェーズを迎えたとみる。

日本企業は自動車メーカーを中心に1ドル=70円台と、歴史的な円高水準下でも利益を生み出す体勢を既に構築済み。これが100円近辺にまで急落したことは、輸出企業にとって上ブレのインパクトとなる。多くの企業は為替に対する営業利益の感応度を開示するが、為替への耐久性を増した企業の感応度は実際はより高いと想定され、1ドル=100円近辺であれば市場の想定を上回る利益を稼ぐことが可能とみる。

PRG日本株式運用チームの「投資アイディア」

図2 運用チームが注目する現在のテーマ

図2 運用チームが注目する現在のテーマ

アイディア発掘方法

アナリストを兼務するポートフォリオ・マネジャーが、投資環境をふまえた過去の経験則、専門家やメディアなどからの情報をもとに、ファンダメンタルズや市場動向を踏まえて「成長性が高い」「新しい」製品やサービスを発掘。これらアイディアはポートフォリオ・マネジャー同士で意見交換したり、企業取材を行うことでその有効性を確認したり、関連業種への波及効果などについても調査を行う。

PRG日本株式運用チームについて

香港本拠のジャーディン・フレミングを起源とするPRG(パシフィック・リージョナル・グループ/アジア・太平洋地域グループ)に所属し、1960年代から日本株式運用を手掛ける。ポートフォリオ・マネジャーがアナリストを兼務し、運用担当者自らが機動的に企業取材を行っていることが大きな強み。

現在メンバーは9人。セクターや企業別の担当を設けず、全員が同じ企業や業種を分析することで多面的なアプローチを可能とし、また分析結果をメンバー内で精査することで投資確度を高めていく。銘柄選択はボトムアップアプローチが基本。

現在運用する主な公募投信は次の通り
●「JPMジャパンマイスター」(2013年7月12日運用開始)
●「JPMザ・ジャパン」(購入申込受付停止中)
●「JFジャパン・ディスカバリー・ファンド」(購入申込受付停止中)
●「JF中小型株オープン」
●「JF中小型株・アクティブオープン」

戻る