外部機関から運用手腕に高い評価  ロング・オンリー、長期運用の姿勢貫く 英アバディーン・アセット・マネジメントPLCの日本法人 代表取締役社長 石川五生氏に聞く

概 況


アバディーン投信投資顧問

アバディーン投信投資顧問
代表取締役社長 石川五生氏

先行きの市場環境が不透明な中で、目先の利益を追い求めるのではなく、長期・安定運用にスタンスを置いた投資信託が見直され始めている。アバディーン投信投資顧問は長期運用を基本に掲げる運用会社の1社。同社は現在の商号に変更し業務をスタートして以来約3年を経過した。同社の親会社であるアバディーン・アセット・マネジメントPLCは英国で生まれ育ち、現在はグローバルな展開を行っている独立系運用会社だ。積極的なM&A(企業合併・買収)を通じて成長を遂げてきた。運用資産は総額約23兆円(2012年6月末)に上っている。その日本法人であるアバディーン投信投資顧問の運用資産は2000億円近い規模だ。今後も運用残高の一層の拡大を目指していく方針だ。同社の特徴や運用方針、強み、今後の展開などについて、同社代表取締役社長の石川五生(いしかわ・いつお)氏に聞いた。

アバディーン・グループと日本進出

当社の親会社であるアバディーン・アセット・マネジメントPLCは1983年に英国スコットランドのアバディーンで設立された。アバディーンは北海油田の英国の前線基地。92年には、初のアジア拠点としてシンガポールに進出、現在はここがアジアのハブ拠点としての位置を確立している。その後もM&Aを繰り返し、2005年にはドイチェバンクAGから英国、米国などの資産運用事業の一部を買収、09年にはクレディ・スイスから伝統的資産運用事業の一部、10年にはロイヤル・バンク・オブ・スコットランドからオルタナティブ投資事業を買収、世界有数の運用会社として成長を遂げている。また、英国の独立系運用会社としては最大規模を誇る。12年には英国の株式インデックスのFTSE100種指数銘柄に採用された。日本との関係で言えば、アバディーン・アセット・マネジメント・グループはこれまで、1990年代初頭から日本への投資を行っているほか、年金など日本の機関投資家が運用商品を採用するなど取引実績があり、2006年に東京にオフィスを開設した。その後、クレディ・スイスから伝統的資産運用事業の一部買収に伴い、旧クレディ・スイス投信がアバディーン・グループ傘下入りしたのを契機に、アバディーン投信投資顧問に商号を変更して、09年7月1日に新たにスタート、現在に至っている。

運用スタンス

アバディーン・アセット・マネジメント・グループは、独立系運用会社としては規模が大きいが、運用会社全体の中では中堅という位置付けといえる。その性格から規模的なメリットがあることや、小回りが効くという特徴をアピールできると思う。欧州、米国、アジアの23カ国にグローバルな運用拠点を展開して、地域に密着した運用体制を敷いている。独自のファンダメンタルズ分析によるロング・オンリーを基本としたアプローチで株式や債券、不動産などのサービスを提供している。運用スタイルの特徴は、独自の企業調査による、充実したリサーチに基づくボトムアップ・アプローチの運用手法に強みがある。また、アバディーン・グループは、投資方針として目先の利益を追求する運用を行わず、長期的な運用を通じて受益者(投資家)に還元する姿勢を常に心掛けている。この点について販売会社、さらに投資家の方々に理解していただくことが重要と考えている。

投資対象は全マーケットをカバー

運用資産は株式、債券、マルチアセットなどオールマイティーだ。当グループのグローバル運用資産残高の資産構成比率は、株式が51%、債券が21%、オルタナティブ・マルチアセットが13%、不動産が10%、マネー・マーケットが5%の内訳だ。株式を中心にバランスが取れた構成となっている。地域別でも米国、欧州、日本、さらにエマージング、アジアなどすべてのマーケットをカバーしている。債券でも、全マーケットを網羅。グローバル、エマージング、アジアなどのファンドが伸びている。また、日本以外では不動産運用業務も行っている。アバディーン・グループは、買収したドイツの運用会社を通じて北欧の不動産を得意としていることも、他社にはない特徴だろう。

アバディーン投信投資顧問の現状

当社は、クレディ・スイスから伝統的資産運用事業の一部買収に伴い、旧クレディ・スイス投信を引き継ぐ形で業務を継続している。現在、運用している公募投信は20本弱を数えるが、すべて旧クレディ・スイス投信が設定・運用していたもので、現在もアバディーン投信投資顧問の運用部隊がそのまま運用を行っている。09年7月来、当社のファンドとしては、トラックレコードは約3年になる。日本株、ブラジル株・債券、バランス型などのファンドがある。ところで、日本株投資については、もともと当グループのシンガポール拠点で運用していたが、06年に運用チームを東京に設立し、現在、アバディーン・グループの日本株運用は東京が中心となっている。一方、日本の機関投資家向けに、グローバル株やアジア株などの外国株を投資対象とした私募投信を立ち上げている。08年9月に当グループが三菱UFJ信託銀行と業務提携しており、アバディーン・グループの一部のプロダクトを年金向け中心に販売していただいている。

リッパー、マーサー、R&Iのアワードで受賞相次ぐ

当社がアピールしたい点は、外部機関によるアバディーンの運用商品のパフォーマンに対する評価だ。11年に「AAMブラジル債券ファンド(アマゾンの恵み)」が「R&Iファンド大賞2011(投資信託)」(主催は格付投資情報センター)でエマージング債券最優秀ファンド賞(ブラジル債券)を受賞した。さらに12年には、株式部門で、「アバディーン新興国株式」が「R&Iファンド大賞2012(確定給付年金)」外国株式エマージング、「日興・アバディーン・インフラ・ファンド」が「リッパ―・ファンド・アワード・ジャパン2012」(主催はリッパ―・ジャパン)最優秀ファンド賞(株式型 業種別 公益3年)、「日本株式運用戦略」が「第10回MPAアワード」(主催はマーサー・ジャパン)国内株式(大型)総合部門(5年)で受賞、債券部門で「アバディーン新興国債券」が「R&Iファンド大賞2012(確定給付年金)」外国債券で受賞した。こうしたアバディーンの高い運用手腕を広く知っていただけるように取り組んでいきたい。今後もアバディーン・アセット・マネジメント・グループの持つ基本的な運用哲学、運用方針は変わらない。オーソドックスで、ロング・オンリー、長期運用という当社の姿勢が今後、チャンスに結び付くだろう。

今後の商品戦略

アバディーン投信投資顧問は、公募投信では旧クレディ・スイス投信のファンドを運用しているが、アバディーン投信投資顧問としての新ファンドはまだない。当面は新ファンドの立ち上げが課題の1つだ。投資家のニーズや、販売会社の現場の声などを聞いて、マッチすれば、商品化したいと考えている。当社はぜひ日本株ファンドの投入を検討していきたい。また、グローバルな運用ノウハウを生かしたファンドも商品化したい。もっとも、現在の環境を踏まえると、設定のタイミングは慎重になっている。一方、販売サイドでは、今後、地方銀行を中心に関係を深めて、ビジネスを広げていきたい。

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