「割安日本株」はさらなる上値を試す インベスコ投信投資顧問 日本株市場セミナー

概 況


日本株市場の現状と今後の見通し

インベスコ投信投資顧問は3月14日に報道関係者向け日本株市場セミナーを開催した。NYが史上最高値を更新する傍ら、アベノミクスへ効果や大胆な金融緩和などで企業収益の改善が見込まれている日本株。昨秋より好調推移を続けるも、果たしてこの状況はいつまで続くのか? 日本株の現状と今後の展望が語られた講演内容を抜粋して紹介する。

株式運用第一部長 日本株式バリュー チーフ・ポートフォリオ・マネジャー 小澤大二氏

小澤大二氏

日本株市場の展望/「割安日本株」に妙味

株式運用第一部長 日本株式バリュー
チーフ・ポートフォリオ・マネジャー 小澤大二氏

1990年代から続く日本株のバリュエーション調整がようやく終了。昨年から続く株価上昇後もPERはいまだ主要国平均近辺、PBR(株価純資産倍率)は主要国で最安近辺に。ROE(株主資本利益率)は主要国の半分ほどの水準にあるが改善方向。過去10年に及ぶリストラ効果などで企業のバランスシートにはキャッシュが蓄積し、国内の実質無借金企業は全体の45%ほどにまで達している。

企業がキャッシュをため込むだけでなく投資等で使うことが次の成長につながる。さらに余剰資金を自社株買いやM&A(企業合併・買収)などに振り向けることによるROEの改善が、論理的にはPBRの拡大を通じて株価を押し上げていくことになる。

これまでの数年間のように企業の売り上げや利益が伸びず、名目GDP(国内総生産)が横ばいを続けるような世界では、多くの企業は利益率を下げるなどして身を削って戦うほかなかった。そうした環境下では、投資家はROEが高く収益のビジビリティが高い企業を好む傾向が見られた。一方で、今後はROEが低い企業でもその改善の変化率で買われる可能性も。デフレ脱却で経済のパイが広がると、投資家の目が向きづらかった“端っこ”企業の変化率までもが大きくなるためだ。日銀の緩和により大量のマネーが市場に流入すると、そのような動きを加速させる可能性もある。足元では不動産株が大きく上昇。2、3年後の土地や賃料の上昇を織り込んだマーケットが始まっている。

株式運用第二部長 日本株式グロース チーフ・ポートフォリオ・マネジャー 得能修氏

得能修氏

中小型株式市場の見通し/回復は「序章」にすぎない

株式運用第二部長 日本株式グロース
チーフ・ポートフォリオ・マネジャー 得能修氏

近年、投資家のリスク許容度の高まりとともに、小型株市場への資金流入が鮮明に。足元ではバイオや不動産関連などの上昇が目立つが、安定成長かつ低PBR銘柄にも波及が見られ、相場的には一巡感も。
そこで今回は、来年の市場を展望した場合に、日本の中小型株にどれほどの伸びしろがあるか、その可能性を確認したい。

伸びしろ(1)売買代金水準

JASDAQと東証マザーズの売買代金合計は1、2月にかなり増えており、過熱感を懸念する声も。ところが過去をさかのぼると、2003年および04年の小泉内閣時代の初期にようやく届いたといった水準にとどまる。

伸びしろ(2)企業業績回復

今回の中小型株の相場はこれまでのところ、テーマ性を持った株だけが上昇している。つまり、すそ野が広がりきっておらず、逆に言えば「来期の業績」が大きなポイントに。

利益と株価は相関関係にあるが、小型株指数は08年の金融危機をボトムに、近年は順調な回復を続けている。にもかかわらず、株価は低位に据え置かれたまま。

伸びしろ(3)IPO市場回復

ライブドア・ショック以降は低迷が続いたIPO(新規上場)。今年は質、量ともに高水準が見込まれ、これが中小型株への関心を一段と高める支援材料になるだろう。今後登場する会社はいずれもリーマン・ショックを乗り越えた実力ぞろい。にもかかわらず、市場全体の株価水準が戻りきっておらず、公募価格が低く設定されている点も魅力的。

伸びしろ(4)アベノミクスとの相性

量的緩和の度合いを示す日銀当座預金残高。これが上昇し始めたタイミング、つまり、金融緩和が実施された期間では過去、中小型株が大型株をアウトパフォームしている。資金が隅々まで行き渡り、投資家がリスクをとりやすい環境が創出されたことが分かる。

株式運用第一部 日本株式アドバンテージ チーフ・ポートフォリオ・マネジャー 水口(みなぐち)忠雄氏

水口(みなぐち)忠雄氏

日本株長期厳選投資は「森を見ず、木を見よ」
~インベスコ日本株式アドバンテージ運用の考える優良株とは~

株式運用第一部 日本株式アドバンテージ
チーフ・ポートフォリオ・マネジャー 水口(みなぐち)忠雄氏

■銘柄選択こそが日本株運用の肝

日本株全体と個別株を一緒に語るべきではないと考える。「木」を見落とす可能性があるからだ。

過去10年間を振り返ると、TOPIXと日経平均株価、あるいは規模別、業種別など各種日本株指数はほぼ同様の動きを見せている。02年末を起点とすると、12年末では「いってこい」の展開。つまり、日本株はこの10年間どこにも逃げ場がなかった、ということに。

ところが「森」ではなく、これを構成する「木」をチェックすると、全く違った結果に。過去10年間でTOPIXのリターンは1.96%にとどまる一方、TOPIX構成銘柄の上位10%に厳選して投資したと仮定すると3倍以上、上位25%でも2倍弱のリターンが得られた。

■「日本株式アドバンテージ」概要

当社が運用するファンド「日本株式アドバンテージ」は05年末に運用開始。優良株に注目したため、上昇相場のみならず下落相場にも強いという特徴を持つ。設定来リターンは14.2%増と、同期間のTOPIX28.0%減を大きく上回り、過去7年間で一度もTOPIXをアンダーパフォームした年がない。

■ファンドの運用戦略

株式投資の根源ともいえる「株主価値」を高める優良企業に厳選投資する。株主価値とは、株主が投資した資金の価値。具体的にはフリーキャッシュフローを重視し、その源泉として無形価値(ブランド力、技術力、顧客基盤など)に注目して銘柄を厳選する。従来のようなバリュー、グロース、大型・小型など「スタイル別」運用とは異なるアプローチで投資収益を追求するため、他社ファンドとは重複が少ないポートフォリオを持つ。

13年1月末現在で40銘柄に投資。結果的には、設定来一貫して業種別のウエートは大きく変わらず、電気機器が上位に。厳選さえすればまだまだ優良企業は発掘できると考える。

戻る