アジア株は「買い」で年後半には一層の上昇余地も ロンバー・オディエ投資戦略セミナー

概 況


プラネイ・グプタ氏

プラネイ・グプタ氏

アジア担当チーフ・インベストメント・オフィサー
プラネイ・グプタ氏

スイス・ジュネーブに本拠を置き、210年以上の歴史を持つプライベートバンク、ロンバー・オディエ。同社は2月1日、アジア担当チーフ・インベストメント・オフィサーのプラネイ・グプタ氏を招聘(しょうへい)して報道機関向けに投資戦略セミナーを開催。バイサイド視点での長期投資戦略を軸に、富裕層向け資産運用サービスを提供する同社の投資哲学と、2013年のグローバル経済の展望が語られた。

2012年の振り返りと2013年展望

グローバルマーケットには引き続きさまざまな懸念が潜在するも、2012年はリスク資産にとってまあまあの1年だった。各国の政策担当者がリスク回避手段を考えてくれたおかげで、株式は16.8%、ハイ・イールド債は19.3%の上昇を見た。

このトレンドは2013年も続くだろう。PMI(購買者担当指数)など主要指標にはボトムアウトの兆しが見られる。2013年のグローバル経済は2-2.5%程度の成長が見込めると考える。

■各国の状況(1)米国

2007年以降のリセッションからいち早く回復した、不景気に最も強い市場。かつて危機を引き起こした新築住宅市場では在庫が過去7年間の最低水準にあり、自動車生産・販売台数もリーマン・ショック前の水準にまで回復している。

ただし、これは回復劇の序章であり、問題は、このトレンドが今後も続くかどうかにある。足元では非住宅用機器とソフトウエアの平均使用年数が上昇基調に。今後、企業が設備投資に着手するかどうかが注目される。

■各国の状況(2)欧州

危機的な状況。加盟国のデフォルトを回避するべく、ギリギリのところで頑張ってはいるものの、GDP(国内総生産)成長率は依然マイナス。失業率は12%と高水準で、中には20%超の国も。

■各国の状況(3)アジア

非常にプラス材料が多い。日本、韓国、インドでは輸出も鉱工業生産も増えている。実際は「マイナスが減っている」との表現が正しいのだが、いずれにせよ安定的。

各国中央銀行は量的緩和策を続けているが、これはアジアにとってポジティブ。しかし、国別の選別は必要で、その際に注目すべきは「インフレ率」だ。

そもそも、金融緩和が可能なのは、インフレがコントロールされていてこそ。例えばインドのような高インフレの国で余剰資金が発生すれば、物価上昇に弾みがつき、コントロール不能に陥る可能性が。大きな債務問題を抱える韓国、不動産が高騰している香港やシンガポールも信用創造には積極的になれない。

■商品市況

とりわけアジアではオイルやベースメタルなど商品価格の動向がインフレの有無に大きく影響する。足元で原油価格は高止まりしているが、一段の上昇はないとみる。現水準は米国で本格化しつつあるシェール革命が過小評価されていることの証左。米国は2006年のピークから原油の輸入量を25%も減らしている。

2013年の戦略/1Qは「アジア株式」を選好

当社では昨秋からすべてのエクイティについて強気のスタンスを提案しており、株式はオーバーウエート、債券はアンダーウエートとする。例えば米国では投資家の安全志向の高まりを受けて、過去7年間で1兆ドルほどが債券に投資された。結果、配当利回りが債券利回りを上回るまでに。

■結論/われわれはアジアを推奨する

GDPに占めるアジアの割合マネーが債券市場から株式市場に還流する上で、最大の受け皿はアジア。足元のグローバル経済の改善を受けて、年後半には一層の上昇余地が期待される。中で、最も大きな経済圏である中国とインド、日本を買うべきだろう。

当社では、アジア株はグローバルポートフォリオの20%を組み入れるべきだと考えている。20-30年前、アジアのGDPは世界の半分程度を占めていたが、西側諸国で産業革命が起きて以降は15%ほどに低下。そして今、再びそのウエートを高めつつある。

IMF(国際通貨基金)では今後30年間でアジアは世界のGDPの半分程度にまで浮上するとの予測を立てているにもかかわらず、各種インデックスには1割程度しか組み入れられていない。

■注目国(1)中国

アジアの中でもとりわけ割安な中国を推奨したい。世界の投資家はこれまでの習慣から「悪い情報」を待っているようだが、それはやって来ないだろう。2012年の政治は安定して行われたし、金融市場も確立されている。鉱工業生産や小売売上、設備投資といった主要指標はいずれも好転している。

■注目国(2)インド

経済面よりも政治面での問題を抱えるも、改革は順調に進んでいる。最近6カ月間で、小売業の外資規制緩和を行ったほか、電力料金やディーゼル価格、鉄道料金などを引き上げてインフレ沈静化にも努めている。なにより、12億超と世界第2位の人口をめがけて世界から資金が流入しており、企業部門の設備投資も着々と進むだろう。

■注目国(3)日本

政権交代を機に、世界は日本について「リーマン・ショック以降で初めて、長期的な景気回復を始めた」との見方を持っている。安倍首相が日銀の金融政策をある程度コントロールしつつ、財政政策と金融政策が同じ方向へ進むことで、回復の確度が高まるだろう。

インフレターゲット2%はずいぶん強気だ。実現の可能性については疑問視されるが、いずれにせよ、この政策によって円安傾向が続き、日本の輸出企業は市場占有率を伸ばすだろう。かつての米国のように、周辺国のノイズを気にせずやり続けることが重要。まだ政策を発表した段階だが、日銀総裁が決まり、いざ実行に移せば、一段の円安が進むとみる。

日本企業の競争相手は韓国、台湾だが、両国ともインフレ率が高く、日本のような自国通貨安による競争力回復は望めない。

■アジアのハイイールド

これも強気。利回りは7-8%程度と、2012年よりも低下したものの、倒産確率が低下していることを考慮すると、依然、魅力的な水準。

■リスク要因

個人的に懸念しているのがイラン。2013年中に現政権は崩壊するだろうという雰囲気だが、仮にそうならなかったとしても、トラブルはマネーを遠ざける。選挙を控えるドイツや日本も、その結果いかんでは政策変更などと、今後の景気回復に悪影響が。

ファンドへの累積資金流入量、配当と債券利回り差

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