鎌倉投信の新プロジェクトが始動! 日本に必要な「いい会社」を皆でつくろう

概 況


NPO法人「いい会社をふやしましょう」創立記念シンポジウム

「100年個人投資家に支持される長寿投信」の運用を目指して2008年11月に創業した鎌倉投信。同社の合言葉「いい会社をふやしましょう」の輪が広がり、先ごろNPO法人(特定非営利活動法人)「いい会社をふやしましょう」を設立。記念シンポジウムが12月15日に東京工業大学(目黒区)で開催された。

テーマは「森と畑にいい会社」。現在、日本が抱える社会的課題の一つである第1次産業に焦点を当て、林業と地域の再生に挑む株式会社トビムシ社長の竹本吉輝氏と、全国で自産自消の社会システムを創ることで耕作放棄地問題の解消に取り組む株式会社マイファーム創業者の西辻一真氏が講演。

「成功しない」と周りから言われているビジネスをあきらめずにやり続けている彼らの取り組み内容や“思い”が語られた。

「鎌倉投信」概要:大手金融会社バークレイズ・グループの元メンバー4人が「投資の本来の姿」を取り戻すべく、「3つの『わ』」という理念の下に立ち上げた直販ファンド。日本の普遍的な価値を育む『和』、人が集って夢や希望を語り分かち合う『話』、そしてそのつながりが広がる『輪』を、投資信託という金融商品を通じて育んでいく。1月17日現在、同社が運用する「結い2101」の基準価額は1万1507円、純資産残高は25億2100万円。

NPO法人いい会社をふやしましょう 代表理事 江口耕三氏

江口耕三氏

はじめに/開演挨拶 江口耕三氏
NPO法人いい会社をふやしましょう 代表理事

世界最先端の社会課題を抱える、課題先進国の日本。これからの日本に必要とされる「いい会社」とは、こうした社会の課題に対して、本業をもって解決しようとしている会社であり、社員とその家族、取引先、顧客・消費者、地域社会、自然・環境、株主などを大切にし、持続的で豊かな社会を醸成しようと日々努力している会社であると考える。

われわれは、そんないい会社を増やすために立ち上がったNPOだ。(1)いい会社を応援する人を増やす(2)いい会社を目指す経営者、社員を増やす(3)社会的起業家を増やすの3本柱の下で活動する。1月25日より「いい会社の理念経営塾」を開講し、定期的にいい会社の社長などにご講演いただく。「勤務先をいい会社にしたい」と考える社会人、いい会社のことを学びたい学生、そして、いい会社を目指す経営者に向けて気付きの場を提供する。

 

株式会社トビムシ 代表取締役 竹本吉輝氏

竹本吉輝氏

ワリバシの可能性とこれからの林業 竹本吉輝氏
株式会社トビムシ 代表取締役

人と森は「同期」している!

便利な都市と比べて「地域はさびしい、きびしい」という論調が多い。「地方にあるのは自然だけ」と。ところが、都市も含めて実は、人の暮らしと森とはしっかりと同期していて、都市の中にも、人の暮らしのすぐそばには“生きた自然”が存在する。一方、地方であっても人通りのないシャッター街の横には、誰にも見向きされることない耕作放棄地が広がっている。

人工林が抱える問題点

一度でも人間の手が加えられた人工林は、原生林には戻れない。樹木は光に向かってしか育たず、手入れされていない森林ではわずかな光を求めて上へ上へと伸びるため、風に倒れる細い木ばかりに。人工林は人間が係り続けることが必要で、さもなくば“さびしい風景”を生む。

現在、日本の国土の7割が森林で、4割が人工林。実は、歴史上で最も緑の面積が多いという。世界中で木が伐採され続ける中、日本だけが森林資産を増やしているのだ。戦時中に木材を大量に使い果たしてしまったため、あるいは、かつて農業に欠かせなかった牛のえさとなる草をとるための土地が耕運機の開発で不要になり、人々が植樹したために人工林が増加。しかし、エネルギー革命でプラスチック製品が安価に出回ると、木材はその出口をなくしてしまった。

「ワリバシ」が森を救う

こうして世の移り変わりで不要になった人工林は、手入れされぬまま数十年が経過している。しかし、今われわれが細い木を間引けば、太陽を存分に浴びた木が10年、20年かけて立派に育つ可能性を秘めているのだ。

ワリバシは環境に悪い、は誤解。「林業を変える」ほどの力は持たないが、これがどんどん使われれば間伐が進み、日本の森林にプラスの効果をもたらすことは確か。現在170億―180億膳が存在するといわれるはし。1人年間で数百膳を消費するといい、このうちの250億膳が製造されるようになれば、100万平米の間伐材が消費されることに。あるいは、世界で進む森林伐採に歯止めをかけることができるかもしれない。

こうして森を活性化させることで初めて、地域のコミュニティーを担保することができる。森林は水源地であり、物質循環的つながりの起源となる場所。林業ががんばればその中流、下流域の産業も活性化し、優秀な人材が集まり、さらに活性化していくだろう。

社名「トビムシ」の由来

「100年の森」を育てる林業を基軸とする同社。名前の由来はもちろん、森林土壌中に住むあの虫だ。1平方㍍当たり10万匹ほどもいるトビムシたちは落ち葉をかみ砕き、ふんを出すことでバクテリアなど微生物の活性化を促し、土をふかふかにしてくれる。当社は、こうして人知れず森の物質循環を支える彼らのような存在を目指す。地域の眠れる資産を健在化して森への期待を喚起し、人々の連綿たる想いをつないで、世の流れを創造していきたい。

「トビムシ」概要:地域資産としての森林に光を当てることで持続可能な地域再生の実現を目指し、森林価値を高める多角的な事業を展開する。岡山県・西粟倉村で、林業で自立するための資金調達と地域のファンを増やすために国内初の森林・林業支援事業を目的とする「共有の森ファンド」を創設。

竹本吉輝氏略歴:横浜国立大学国際経済法学研究科修了。アーサーアンダーセン、ERM日本を経て、環境コンサルティング会社を設立。その後アミタ株式会社に合流し、同社経営戦略本部戦略統括を経て、2009年トビムシ設立。

 

株式会社マイファーム 創業者 西辻一真氏

西辻一真氏

社会を変革する『自産自消』の農業 西辻一真氏
株式会社マイファーム 創業者

当社は「農業ソーシャルビジネス」提案企業。市民農園「マイファーム」など各種農業ビジネスを展開しており、2012年10月現在、「マイファーム」は全国80カ所、約2000人が利用している。

農林水産省の統計によると、全国には耕作放棄地が約38万㌶あり、これは埼玉県の総面積と同等。理由は就農者の体力の衰えや跡継ぎ問題などさまざまだ。当社はこれを「マイファーム」として農地のまま再利用することで問題解消し、最終的には皆が「自産自消」できる社会を作りたいと考える。

「ノウハウ」と「人」をつなぐ

世界では8億人分もの食料が不足しているという。これを解消すべく、私は大学時代に遺伝子組み換えを研究した。生産性を上げればよいと考えたための選択だったが、結局、これは最善策ではないということを後に知った。あるとき教授の一言で「農業では満足に食べていけないから就業希望者が減っている」という、日本の農業が抱える根本的な問題点に気付かされたのだ。

就農人口が減少する一方で、農業に興味を持つ人が増えていることも事実。そこで当社は2010年4月に農業専門学校「マイファームアカデミー」を立ち上げた。農家が持つノウハウを吸い上げて、新規就農希望者や週末家庭菜園を楽しみたいといった農業初心者向けに提供することで参入障壁を取り除く。

「自然との共存」を知る

農業の役割は食料を作るだけでなく「自然との共存」を知ること。いまや年中手に入るたまねぎは本来、収穫まで6カ月を要する。このスピードに私たちが合わせて生活することで、多くの気付きが得られるはずだ。自然は絶対的な存在なので、人々はこれと闘わずに共存しようと、周囲を思いやる気持ちを持つだろう。自産自消が広がって皆が野菜作りという共通点を持っていれば「スイカの花が咲いたね」などと話題は尽きず、いじめ問題は起こらない。

「マイファーム」概略:「自産自消」をコンセプトに耕作放棄地を開墾し、市民農園「マイファーム」を都会の住民に貸し出しを行うなどさまざまな農業ビジネスを展開。5年後までに全国1000カ所、5万人の利用者を生み出すことで、日本の食糧自給率1%向上を目指す。また、同時進行する農業専門学校事業などを通じて「農業(家庭菜園を含む)を始める人を2014年までに1200万人にしたい」との目標を掲げる。

西辻氏略歴:京都大学農学部資源生物科学科卒業。大手広告会社に勤務後、2007年マイファームを設立。

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