テーマは「伝達品質の保証」  投資信託、交付目論見書を評価対象に

概 況


アワード中心に研究開発進める  福田泰弘UCDA理事長に聞く

UCDA理事長 福田泰弘氏

UCDA理事長 福田泰弘氏

一般社団法人ユニバーサルコミュニケーションデザイン協会(UCDA/理事長:福田泰弘氏)は、伝達品質のコンクール「UCDAアワード2013」を開催する。「UCDAアワード」は、産業・学術・生活者の知見により開発した尺度で第3者が客観的に評価するもの。評価結果が、改善のための指標となり、デザイン技術の発展とコミュニケーション品質の向上を通じて企業と生活者双方の利益に貢献することを目指す。4回目となる「UCDAアワード2013」のテーマは「伝達品質の保証」。今回の評価対象は、生命保険は告知書・Webの請求時手続き説明画面、自動車保険は保険金請求書・Webの請求時手続き説明画面、投資信託の交付目論見書、通信販売(健康食品)の購入申込書。1月10日より対象物の募集を開始、5月に選考結果を発表する予定。そこでUCDAの福田泰弘理事長に「UCDAアワード2012」を振り返っていただくとともに、「UCDAアワード2013」がスタートするにあたって、「UCDAアワード」の意義や、UCDAの今後の取り組みなどについて聞いた。

「UCDAアワード2012」を振り返って

前回の「UCDAアワー2012」は、従来の生保・損保に投資信託、OTC医薬品を加え、4つの業界で合計53社、68商品を対象に行った。選考結果報告会はお客さまが350人以上と、昨年よりも盛大な会となった。日本年金機構の矢﨑理事に基調講演をしていただいた。会場も霞が関の霞山会館に移し、雰囲気も変わった。非常に熱気と活気のある報告会となったと思う。参加していただいた企業の皆さんにも、協賛、協力していただいた企業、団体の皆さんにもあらためてお礼を申し上げたい。

前回はアナザーボイスを評価に入れた。今までコミュニケーションに関わる専門家の評価を中心にやらせていただいたが、加えてアナザーボイスという生活者の声を具体的に反映させる形に変えた。対象企業の皆さんからは、生活者目線の評価が強化され、課題が具体的になって、わかりやすさへの改善のスピードアップができたとご意見を頂いている。さらに、評価員に対して、参加企業の方から直接説明をしていただく機会も設けた。参加企業の取り組みを聞くことで、さらに評価が深まった。

評価対象は、生命保険が医療保険、損害保険が自動車保険のどちらも募集パンフレット。これまでは、契約したお客さまへの通知物(お知らせ、証券)だったが、商品の購買に直接の関係があるパンフレットを対象にした。投資信託は初めてだったが、外国債券投信の販売用資料を対象にさせていただいた。投資信託会社大手8社が積極的にご参加いただき、大変感謝をしている。評価員の方々からは、自分たちが考えていたより、デザインが良かったとの声が聞かれた。参加された企業の皆さんはとても熱心で、評価結果に対し非常に反応が早かった。アワードをきっかけにもっと「わかりやすさ」のレベルを上げるため、UCDA認証※を取るという積極的な動きも出て、大変うれしく思っている。

※UCDA認証とは、「見やすく、わかりやすく、伝わりやすく」改善する基準を策定し、コミュニケーションツールおよびコミュニケーションプロセスを審査・認証する制度。

今後の課題

投資信託ではいくつかの課題が見えた。まず、評価員やアナザーボイスからは項目の見つけやすさ、検索のしやすさについての指摘があった。用語統一や、目次の標準化などだ。2つ目は読みやすさ、可読性について。どうしても法律的な文章は長くなりやすいが、あまりにも長いと読みにくくなる。また、グラフのルールも統一化した方がいい。フォントもUDフォントを使用しているところがいくつかあった。3つ目は見やすさ、視認性。多様なユーザーに対する色彩の配慮ができているか。文字も大きさではなく、デザイン的な配慮によっても見やすさが変わってくる。そういうところで、もうひと工夫されたら、さらに良くなるのではないか。

UCDAでは、「見やすく、わかりやすく、伝わりやすく」という言葉を使っているが、今回の「UCDAアワード2013」では、これを「伝達品質の保証」としてテーマにした。アワードをきっかけに、投資信託業界が、今まであまり関心のなかったユニバーサルコミュニケーションデザイン(UCD)という分野に、大変熱心に取り組んでいただくようになったことは間違いないと思う。その結果、ほかの印刷物でも改善を進めているといううれしいお話を聞いた。UCDA認証を取得する企業も増えてきている。

今回のアワードでは、生命保険は、保険に入る時に健康状態などを記入する告知書と支払手続案内Webページを対象に、損害保険は自動車保険の保険金請求書と支払手続案内Webページを対象にした。また、アナザーボイスからの要請もありOTC医薬品に代わって、通信販売(健康食品)の購入申込書を対象とした。投資信託は、交付目論見書を対象にする。前回のアワードで担当者の方にいろいろお話を伺った際、販売用資料に力を入れている企業と交付目論見書に力を入れている企業があると聞いた。この点についても、アワードという場で議論を深めていきたいと思っている。また今回は、アナザーボイスによる生活者の意見をさらに評価に取り入れる仕組みを充実させた。そのため、公益社団法人全国消費生活相談員協会と財団法人日本消費者協会に評価に参加していただくことにした。投資信託の場合、前回は8社に参加していただいたが、今回は1社でも多くの企業に参加していただき、UCDの理解と推進をお願いしたいと考えている。

今後のアワード

これまでの3回のアワードは選考結果報告会の後の半年間は次のアワードに向けた準備期間という位置付けだったが、これからはアフタアワードとして、セミナーや研究会などを開催して何らかの形で企業の皆様や業界のお役に立ちたいと思っている。私の個人的な考えの段階だが、4つの業界を一緒にして開催してきた選考結果報告会も、分科会といった形で業界ごとに行うことも考えられるし、選考結果報告会を一緒に開催して、その中で分科会的なものを行うことも考えている。それと、各業界ごとに研究会を立ち上げることや、保険会社と投資信託会社が業界を超えた研究会を行っていくということもいいのではないか。今まではアワードの評価結果を、個別企業に対するアドバイスということでやってきたが、データもかなり集まってきたので、もう一歩前進して、業界へのアドバイスもしていきたいと思っている。また、一つ一つの商品やサービスではなく、企業と生活者のトータルなコミュニケーションデザインとして評価・表彰していくことも考えている。そのためにも、1社でも多くの企業に「UCDAアワード2013」へご参加いただきたい。

UCDAの取り組み

UCDAの認証制度に対する関心度が高くなっている。特に金融関係、銀行や保険、信販などの業界で認証を取得するところが増えている。先ごろも、入会案内のパンフレットを改善して認証を取得したハウジングメーカーで、「会員倶楽部」の加入者が大きく伸びたとの報告が寄せられた。「わかりやすく」なることで、お客さまの満足度が向上し、販売促進面でも効果があったと思っている。また、高松市がUCDA認証(伝わるデザイン)を取得した。わかりにくい納税通知書を、デザインだけではなく文章も含めて「わかりやすく」改善した。ほかの自治体からも多くの問い合わせが来ている。今後、自治体や官公庁が伝達品質を向上させる取り組みを積極的に行っていけば、民間企業とは違った意味で、社会に与える影響は大きいと考える。ユーザー視点で「わかりやすく」改善していくと標準化してくる、標準化していくと統一化され、共有化されてくる。これが最終的な到達点になるのではないか。例えば、投資信託でも申込書の共通化が考えられると思う。もう1つは産学の共同研究。「わかりやすさ」を見える化させるための技術やソフトウエアなど伝達品質を向上させるための研究が必要だ。大学や企業では研究者がユニークな研究をしている。一方で新しい顧客サービスを欲しがっている企業がある。当協会が両者をジョイントして、いい成果を生み出したい。UCDAの特徴は、文系、理系の学と産を組み合わせること。UCDAフォント「みんなの文字」は、このようにして生まれた。可能性はたくさんある。今後も、アワードを中心に、研究開発を進めながら皆さんのお役に立てるように努力をしていきたい。

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