奥地まで踏み込む徹底した実地調査が最大の強み ブラックロックだけの世界の金鉱株を投資対象にしたファンド

概 況


ブラックロック・インベストメント・マネジメント(UK)リミテッド
天然資源株チーム ポートフォリオ・マネジャー
リチャード・デービス氏とトム・ホール氏に聞く

左からトム・ホール氏、リチャード・デービス氏

左からトム・ホール氏、リチャード・デービス氏

 世界最大級の資産運用会社のブラックロックグループのブラックロック・インベストメント・マネジメント(UK)リミテッドは世界最大級でユニークな天然資源株チームを有する。物理学者や地質学者などスペシャリストで構成され、時には鉱山を求めて奥地まで入り込み専門的な知識や経験を生かした徹底的な調査を行っている。

 日本法人のブラックロック・ジャパンは、天然資源株チームが運用するファンドの1つに「ブラックロック・ゴールド・ファンド」「ブラックロック・ゴールド・メタル・オープン」など世界の金鉱株を主要な投資対象としたファンドを設定している。実は、こうした世界の金鉱株を主要な投資対象にして運用しているファンドはブラックロック以外にない。このほど金鉱株の運用を担当しているポートフォリオ・マネジャーのリチャード・デービス氏とトム・ホール氏が来日した。金市場の現状や見通し、同ファンドの投資対象となっている金鉱株の魅力などについて聞いた。

リチャード・デービス氏

金相場の市場環境

 ブラックロックの金相場の見通しは強気だ。まず、金を取り巻く環境について説明したい。特に大きな影響を与えている要因は各国の中央銀行が実施している金融緩和だ。量的緩和の下での通貨の信任が低下していることや、将来のインフレ懸念が依然くすぶっていることなど、現物資産である金に対する注目は依然高い。また、さまざまな国々で名目金利から物価上昇分を差し引いた実質金利がマイナスとなっている。過去において、実質金利がマイナスな状態では、金はおおむねプラスのパフォーマンスを示しており、緩和的な金融政策が作用し現状のような実質金利がマイナスが状態が続いた場合、引き続き金の堅調なパフォーマンスに期待したい。

金の需給動向

 金の需要先としては、投資需要、装飾品、中央銀行購入、その他製造などがあるが、特に投資需要に着目したい。金市場には確実に投資としての資金流入が続いている。金現物への需要で2011年には前年比36%増に拡大した。また、特に投資家として注目されるのは中央銀行の存在だ。ロシア中銀は買い増しを始めているし、今まで保有していなかった新興国などの中央銀行が金投資を増やしている。中央銀行が金投資を増やしているのは外貨準備での資産分散が目的だ。金は金利を生まない商品として中央銀行から過去長年にわたって敬遠されてきたが、米ドルの先行き不透明感もあって金に分散を進めていると考えられる。また、新興国では経済成長とともに金投資が今後期待されよう。

 一方、供給側を見てみると、ここ数年は若干増加したものの、金生産量は2001年をピークにほぼ横ばいだ。ここ数年の新規鉱山の開発事例を見る限り、今後はそう増えないと予想される。一方、多くの大規模な金鉱山では寿命に近づいている。採掘される鉱物の質も下がっている。

最近の上昇はバブルでない

 ここ数年の金相場の上昇についてバブルとの見方もあったが、われわれの見方は違う。金相場が大きく上昇した1971年-1981年を見ると、この10年間で15倍以上上昇し、1980年前後は急激な上昇を見せた。一方、ここ10年の2001年-2010年の相場上昇を見ると5倍強で、その上昇トレンドはなだらかな右肩上がりだ。バブルとはどうゆう状態かと考えればおのずとその答えも出よう。

トム・ホール氏

金鉱株の魅力

 金関連の投資対象としては、その金より金鉱株の方が有利な場合もある。その理由は主に3点。1つ目は、ギアリング効果という点で、金鉱山企業の採掘コストが変わらない場合、金価格が上昇すると金鉱業会社の利益率は金価格の上昇率以上に増える。従って金価格と比較して金鉱株の方がよりダイナミックな値動きとなる。次の説明についてイメージとして理解していただきたい。例えば、金価格が1500ドルから1600ドルに上昇すると約7%の上昇となる。これに対して、金鉱企業の利益は500ドル(金価格1500ドル-コスト1000ドル)から600ドル(金価格1600ドル-1000ドル)に増加すると約20%の上昇となる。相場が上がると予想している方なら金鉱株の方に注目してもよさそうだ。もっとも、金価格が下落する場合は逆で、金価格以上に利益の下落は大きくなる。2つ目は、金鉱株には経営の意思が働くことである。金価格はさまざまな外部要因で上下するが、金価格が下がった場合でも、金鉱山企業は経営努力よって利益の減少を食い止めることもあり得る。3つ目は、金鉱株は配当を出すこともある。金利を生まない金に対して、企業努力の成果として配当が期待できる。軟調な株式市場に圧されてか、金に対して金鉱株はパフォーマンスが劣後している状態も昨今見られるが、金鉱株のバリュエーションは過去最低の水準で推移しており、割安度が徐々に高まっている。そうした中、金価格と金鉱株の新たな関連性が形成されており、金価格の上昇以上に金鉱株の上昇に期待が持てるかもしれない。

 また、分散投資という観点から、金鉱山企業株をポートフォリオに組み込むことも一案だ。世界に事業を展開している金鉱山企業株を入れることで地域分散が図れることが魅力。また、資源国の通貨にも分散を行うこととなるので、さまざまな点からリスクの分散を進めることもできる。

現地調査

 金鉱株はすべて同じではない。金の生産ひとつとっても企業によって管理や収益性など異なる。当調査チームは、資源関連銘柄を評価するため、地質学者として直接現地に入って金鉱脈の調査を行っている。これまで訪問した国は、欧米以外では、パプア・ニューニギア、ガーナ、コンゴ、ザンビア、モザンビーク、シエラレオネ、ロシアなど。鉱山開発から生産までのプロセスのさまざまな面を評価している。そこでは技術的な取り組みやコストのほか、掘削現場へのアクセスや運搬するための物流、市場へのルートなどの評価も重要だ。

 また、より健全で成長性の高い金鉱企業を見つけ出すには、現地への取材で鉱物資源やインフラなどを調査するだけにとどまらず、実際、経営陣に取材することで今後の事業計画などについても精査する。ここに当社のアドバンテージがある。資源の質だけでなく、資源会社の質も見ているわけだ。主に3年から5年にかけて増産見通しができる企業、また利益成長の見込める企業を選別して、ポートフォリオに組み入れている。金鉱山企業といっても、良い企業と悪い企業もあり、市場で買うより、個別銘柄を選択する我々のファンドを購入した方が効率的といえる。

運用プロセス

 こうして、当調査チームは、1年に4-6週間は現地調査を行い、さらに1年に400社超の経営陣とミーティングを行っている。当社の「ブラックロック・ゴールドファンド」はFTSE金鉱業株インデックスを長期にわたってアウトパフォーマンスを実現している。運用プロセスは、運用チームが投資ユニバースからマクロ見通し、企業リサーチを経て、相互的に勘案してポートフォリオを構築しているが、ブラックロック・ソリューション、リスク・クウォンツ分析部は、ポートフォリオの持っているリスクを把握・管理するためのシステムや情報などを提供している。

金鉱株ファンドで金や金鉱株にアクセス

 金や金鉱株の投資は、希少性、成長性、分散効果などが期待でき魅力的な投資対象と言える。資源のない国、日本に住む投資家にはアクセスが難しい世界の金鉱株だが、ブラックロックの金鉱株ファンドであれば、そうした金鉱株への投資も可能となろう。

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