アカディアンの強みと戦略 アカディアン・アセット・マネジメント・ジャパンがスタート

概 況


ロス A.ダウド氏、石井誠二氏

ロス A.ダウド氏、石井誠二氏

米ボストンに本拠地を置く、世界的な資産運用会社のアカディアン・アセット・マネジメントLLCの日本での完全子会社であるアカディアン・アセット・マネジメント・ジャパンが昨年11月20日に金融商品取引業者(投資運用業)として登録された。アカディアンの全世界での運用資産額は700億ドルに上っている。アカディアンの特徴や強み、日本市場への本格進出の背景や今後の展開などについて、アカディアン・アセット・マネジメントLLCのエグゼクティブ・バイスプレジデントであるロス A.ダウド氏と、アカディアン・アセット・マネジメント・ジャパンの日本における代表者の石井誠二氏に聞いた。

■運用会社としての強み

石井代表「当社はシステマチックで定量的な(クオンツ)運用手法を用いている。先進国では市場が効率化しているが、当社は大量のデータを効率的に駆使することにより、いち早く市場の収益機会をとらえることができる点が強みとなる。」

「特に強みといえる点は主に3つある。クオンツ・アプローチの資産運用会社の中でも、当社は歴史が長く、1986年からこの分野の仕事を行っている点が1つ目。歴史が長いということは、顧客から高く評価され続けていることを意味する。2つ目は、投資ユニバースの大きさだ。先進国の株式だけでも約4万銘柄について、1日に3回―アジアの引け、欧州の引け、アメリカの引けのタイミングでデータを更新し、ファクター・モデルを走らせることができる。アカディアンのファクター・モデルは、バリュー、グロース、テクニカル、クオリティの4つのグループから成るが、各ファクターは約70の細分化されたサブファクターから構成されており、当社のようにバランス良く多角的に定量分析を行える資産運用会社はそう多くはない。これが3つ目だ。」

■ビジネスのアプローチ

石井代表「当社の社員は全世界で270人だが、そのうち約3分の1がリサーチャーを含むインベストメント・プロフェッショナルだ。その中でうまくビジネスを展開していかなければならない。東京にコミットしており、マーケティングの人材は徐々に拡充してゆく。アカディアンは日本では既に約1,500億円超の助言契約を通じて年金資金をお預かりしているお客さまにアドバイスを提供している。これは2社の投資顧問会社を通じてやってきた。今後は公的年金などについては自社でやっていく予定だが、当社ができる範囲内で全体のリソースをうまく配分し、優先順位をつけながらビジネスの組み立てを考えることになる。」

■運用のアプローチ

ロス A.ダウド氏「われわれはこのビジネスを30年ほどやっているが、投資家が特定のバイアスを持った行動をとってしまうケースを世界中の市場で観測している。この様なバイアスを利用して、そこからうまく収益を獲得するためにはシステマチックな規律あるファクターベースのアプローチをとることが一番良いと考えている。われわれの投資チームは2つのカテゴリーに分かれている。一つはリサーチのチーム。投資家の誤った行動をさまざまな方法を用いて分析し、モデル化することにより付加価値を得ようとするものだ。もう一つは、モデルを用いていかに効率的なポートフォリオを構築するかを考え、実際にファンド運用を行うチームだ。クライアントに接して、投資ソリューション提供も行っている。」

■東京オフィス開設の狙い

ロス A.ダウド氏「今なぜ、当社が東京にオフィスを開設・拡大しようとしているのか。その理由は4つある。1つ目は、世の中が当社の得意としている商品や戦略を求めているということである。当社はマルチ・ファクター・アプローチという投資のスタイルを長い経験を通じて培ってきた。また最近はスマート・ベータへの関心が高まっているが、こうしたニーズの高まりをとらえて、より洗練した形でわれわれの運用プロダクトを提供できるチャンスが到来したと考えている。グローバル株式、新興国株式のコア・プロセスと、スマート・ベータ・アプローチの組み合わせは、公的年金が株式へのエクスポジャーを増やそうとしている今の動きにぴったりマッチすると考えている。」

「2つ目の理由は非常に興味深い分野としての企業年金の存在がある。これまで、企業年金は株式へのエクスポジャーを下げ、リスクを回避する傾向にあった。当社のマネージド・ボラティリティという運用手法は、現在の運用資産が100億ドルほどであるが、標準的な時価総額加重の株価指数のトータルリスクの60%程度のリスクで同等以上のリターンを得ようとするものだ。従来型のベンチマーク運用に比べ、絶対水準でのリスク削減に寄与するので、かかる企業年金の方向性にマッチすると考える。」

「3つ目の理由だが、現在、特定の顧客ニーズに合わせて投資ソリューションを提供することを検討しており、日本の投資家のニーズにも応えられるのではと考えた。例えば、ダウンサイドのリスクに強い株式ファンドや、マルチ・アセットやスマート・ベータのような複合的機能を持った商品などだ。」

「4つ目は、日本には10年以上前から当社のお客さまがいるという点だ。サービス向上のために日本のお客さまのニーズをよりよく理解したい。お客さまがより良い投資判断をされるために、より良いレポートやサービスを提供してお役に立ちたい。それにはやはり東京にオフィスを構える必要があると考えた。」

■東京での展開

石井代表「今後も、お客さまは公的年金(共済も含む)と企業年金が中心となる。個人投資家向け商品に関しては、アカディアンが得意としている新興国の株式ファンドやスマート・ベータ型のシングル・ファクター・ファンドなどを、お客さまのニーズにあわせてリテール業務を持つ提携先運用会社に提供していきたい。日本での運用残高は5年後に40億ドル(約4,700億円)を目指したい。」

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