投資家層が拡大するETFの魅力 楽天証券「ETFカンファレンス2014」開催

概 況


売買の利便性や低コストなどの理由から投資家層が拡大するETF(上場投資信託)。楽天証券は11月8日、ETFの専門家を招いて講演を行う「ETFカンファレンス」を開催した。約280人の個人投資家が集結したイベントの講演内容を抜粋して紹介する。

川田重信氏

川田重信氏

ETFを使った米国株式市場攻略法

エグゼトラスト 代表取締役社長 川田重信氏

米国株は新値更新が続く。しかし私は「居心地の良い日本に居ながらにして、投資家が優遇された米国株式市場に投資する」との戦略を今後も変更するつもりはない。その理由を説明したい。

■米国は高値か?

米国株式市場の時価総額8割をカバーするS&P500指数。史上最高値の更新が続き、投資できずにいる投資家も少なくないようだが、視点を変えれば「新展開入り」も確認される。われわれ日本人が見慣れた1000、1200、1400と等間隔で区切られたチャートではなく、10、100、1000とケタ数ごとに区切られた「対数目盛」のチャートを見ると、2000年ころから続いたボックス圏を今年ようやく上抜いたところ。

そもそも米国には“株が上がるしくみ”が存在する。経営者は厳しく結果を求められるため、米国企業のEPS(1株当たり利益)は右肩上がり。加えてS&P500は銘柄入れ替えが年平均30社と頻繁。うち6割がM&Aによるものと、企業自体の新陳代謝も激しい。

■長期保有に向くETF

長期に成長続ける米国株だが、個別銘柄よりもETFによる買い持ち投資が有効だと考える。銘柄選択は難しく、専門家であるファンドマネジャーでさえ3年連続で指数に勝つのは10人中1、2人とのデータもある。

指数のパフォーマンスも年単位で見れば浮き沈みはあるが、長期でならすと大きなプラスに。S&P500指数の年間リターン(配当込み)は1970年から2013年までの43年間で9回マイナスがあったが、平均では10.4%のプラスに。そして、1970年に1ドルをS&P500指数に投資したと仮定すると、2013年には77.79ドルにまで膨らんだと試算される。

武者陵司氏

武者陵司氏

経済と市場展望の焦点

武者リサーチ 代表 武者陵司氏

■マイナスバブル是正の可能性

日本株式は史上空前、世界最大のアンダーバリュエーション。リスク選好指標である「株式益回り/社債利回り倍率」は米国の2倍に対して、日本は8倍にも達している。ちなみに1990年の日本のバブルピーク時が0.25倍、99年の米国ITバブルピーク時が0.5倍。30年代以降の米国でこの比率が最も高かったのが49年の5倍であることを考えても、今の日本が異常なリスク回避心理にとらわれていることが分かる。

極端に割安化した資産価格は、資産価格是正による大幅なキャピタルゲインの可能性を秘める。不動産価格の上昇の余地も大きい。日本の土地の時価総額は89年の3150兆円をピークに、現在は1500兆円ほどにまで縮小した。適正水準は800兆円ほど上にあるとみられ、この先は“度肝を抜くような”プラス補正の動きが期待される。

伊藤宏一氏

伊藤宏一氏

個人および証券市場の将来

千葉商科大学 人間社会学部教授 伊藤宏一氏

■注目高まる「シェアリング」

従来の3大資金「住宅」「教育」「老後」に加えて、現在は若い世代が「就職」「結婚」「出産」についても緻密(ちみつ)なプランニングを必要とする時代になった。さらに、気候変動リスクの高まりに伴う災害に対処するための「緊急資金」、「親の介護資金」まで加えた設計が求められるように。

しかしながら、かつてのような高度経済成長による賃金上昇は期待できず、日本では企業が収益を貯め込み続けている。

個人の所得拡大が見込めない中で注目されるのが「シェアリングエコノミー」とのイノベーションだ。個人保有の資産を減らして共有するとのアイディアで、例えば、辞書を買わずにネットで検索できるWikipedia(ウィキペディア)のほか、ホテルの代わりに個人が貸し出す世界中の空き部屋をネット上で予約できるAirbnb(エアービーエンビー)、個人の車を時間単位で貸し出すBuzzcar(バズカー)などが挙げられる。

■資本市場は「群」から「個」へ

Amazonが急速に流通網を広げたことが証明するように、かつて主流だった“ほとんどの人が同じモノやサービスを求める”との「正規分布」から、現在は、企業が個別の多様なニーズに対応する「べき分布」へと資本市場が移行しつつある。米国では該当企業がほかにも上場しており、例えば先述したBuzzcarの前身、Zipcarは2000年に設立され、11年にはNASDAQに上場している。13年には4億ドルといわれるカーシェアリング市場の75%を占め、76万人超の会員を抱えるまでに成長。そして昨年、レンタカー大手のエイビスに5億ドルで買収されると、エイビスはその後フランスでBuzzcarを立ち上げた。

川崎華奈氏

川崎華奈氏

ETF市場の拡大における指数の役割

S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス ディレクター 川崎華奈氏

当社は世界最大の指数プロバイダで、日々100万本以上の指数を算出する。当社指数を使ったETFは世界で627本あり、その内容は近年大きく様変わりしている。

これまで指数といえば市場の動向を図る尺度であり、ファンドなど運用成績の良し悪しを見る上での指標との役割が主だった。しかし現在では「投資アイディア」を実践するための手法として活用され始めている。

■銘柄選別など効率投資をサポート

例えば家を購入するとき。有名な建築家にオーダーすれば高額だが、バラエティに飛んだ建て売り物件の中から選択するのが現実的だ。投資においても、既成品から投資先を選べばコスト低減が可能。そんな環境がようやく整いつつある。

指数は国別、地域別、業種別のほか、配当やボラティリティに着目するなど投資戦略別のラインナップも多様化しつつある。配当について言えば当社には3種類の関連指数があり、中で「S&P配当貴族指数」は25年以上増配を継続する企業を対象とするなど、収益の安定性・成長性にも配慮している。もちろんこの指数に連動するETFもあり、理想の投資戦略の実行をスムーズにしている。

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