2014年下半期の見通し JPモルガンAM メディアセッション

概 況


先進国主導で景気回復継続、日本株はアクティブ投資が重要に

重見吉徳氏

重見吉徳氏

JPモルガン・アセット・マネジメント
グローバル・マーケット・ストラテジスト 重見吉徳氏

JPモルガン・アセット・マネジメントは7月29日に報道関係者向けセッションを開催。注目トピックやグローバル経済および金融市場の2014年下半期見通しなどが語られた。

グローバル経済・金融市場の動向

利上げ時期はFRB予測に収束、早期利上げの可能性も

世界の金融市場における2014年上半期の中心的なテーマは「米国の長期金利低下」と「ボラティリティの低下」だった。これらは互いに結び付いているとみられ、今後は金利上昇に伴ってボラティリティが上昇する可能性がある。利上げの足音が小さいながらも確かに聞こえ始めている今、金利上昇に耐性のあるポートフォリオを検討する必要がありそうだ。

金融政策に対するFRB(米連邦準備制度理事会)と市場の見通しには乖離がある。利上げ開始時期について、FRBは市場の見通しよりも早い15年半ばの可能性を示唆するが、これは非現実的なものではない。FRBが注目する米国の失業率は6月が6.1%で、直近1年間では年間0.8-0.9%のペースで低下。このままいけば来年半ばにはFRBが完全雇用とみる5.2-5.5%に達する可能性がある。

先進国の景気拡大、より明白に

足元のボラティリティ低下とリスクテイクの拡大は、短期的には懸念材料ではあるものの、世界経済にはいつになく明るいニュースもある。景気の遅行指数である失業率が、先進国ではそろって低下傾向にあり、これは景気循環が引き続き拡大することを示すポジティブなサイン。景気循環トレンドはシンクロすることから、新興国にもいずれ良好な影響を及ぼすとみる。

(米国市場の現状)
企業にとっての「ゴールデンタイム」は継続中。金利と賃金の伸びはまだ緩やかで、この先も売上高の拡大が期待される。加えて企業はこれまで低成長下であっても配当や自社株買いを増やすなど「株主重視の姿勢」を継続したこともポジティブ。株価が下がったときにキッチリ買いが入るような雰囲気が醸成されており、これが投資家の安心材料につながっている。

(中国市場の現状)
株式市場は高値更新基調。景気対策が徐々に効果を発揮しているもよう。過当競争によって企業は価格決定力を失い、生産者物価指数は過去2年マイナスが続いたが、足元ではこれが解消されつつある。依然として不良債権問題など懸念を抱えるものの、ソフト・ランディングは可能であり、世界経済に与える下押し圧力はそれほど大きくないとみる。

日本株式市場の見通し

fig1日本株市場は年後半にかけて高値更新して終えるとみている。企業業績の上方修正が相次ぐなどファンダメンタルズが改善する一方、バリュー面では、EPS(1株当たり利益)が過去最高水準にあるにもかかわらずTOPIXが低水準にとどまるといった状況にあるが、いつまでも続くわけにはいかないだろう。なにより「アベノミクス」の是非を論じる上で株価上昇は欠かせない。

安倍政権の旗振りの下、企業は資本効率の改善を昨今のテーマに掲げている。これまで日本企業はバブル期に積み上げた過剰な生産能力を持て余しつつ、投資の抑制と負債の削減に努めた結果、利益剰余金は足元で300兆円に達し、ROE(自己資本利益率)などに代表される企業の収益性を示す指標は、他国の企業に比べて見劣りする状態が続いている。

とはいえ、自社株買いや配当など、今まで積み上げたものを吐き出すだけのROE改善は、株価に一時的なインパクトしかもたらさない。企業の成長には高ROEだけでなく「利益成長」が欠かせない。そのため、人口動態などから縮小する日本市場における企業間競争はさらに激化し、淘汰(とうた)やM&A(企業合併・買収)が進むだろう。生き残れるのは収益性が高く、増益できる企業のみ。EPSはこの先、欧米並みに上昇して、最終的には日本企業の株価上昇にもつながるだろう。

海外投資家の動向:なぜ外国人投資家は日本株を買うのか?

米国市場に劣後する日本市場だが…

fig2外国人投資家による日本株保有比率は1996年ごろから年々上昇している。しかしながら、S&P500指数とTOPIX(米ドルベース)のトータルリターン(配当込み)を比較すると、96年1月を起点にS&P500指数が直近4倍になった一方で、TOPIXはほぼ横ばいを続けている。2013年はアベノミクスで大きく上昇したはずの日本株だが、TOPIX(米ドルベース)のリターンは24.8%と、S&P500指数の29.6%に劣る。

それでもなぜ外国人投資家が日本株を買うのか? 当然ながら、そこに「投資妙味が存在するから」であり、日本企業に対する期待の表れとも考えられる。

fig3アクティブ投資の重要性さらに高まる

少子高齢化や公的債務など多くの構造的問題を抱える日本だが、個別銘柄を拾うことで、米国株式市場の全体水準を上回るリターンが取れる可能性がある。TOPIX構成銘柄のうち、米ドルベースで見た株価上昇率がS&P500指数のそれを上回った企業が多数存在しており、13年は558銘柄、14年年初から6月末時点では807銘柄にも及ぶ。

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