JPモルガン・アセット・マネジメント「年金運用動向調査結果」発表

概 況


アベノミクス効果を見据えた年金運用の現状

鈴木規夫氏、國京彬氏

鈴木規夫氏                 國京 彬氏

JPモルガン・アセット・マネジメントは6月30日、日本の企業年金を対象に2013年度から14年度にかけての運用状況の変化や今後の方向性を聞き取りした調査結果を発表した。執行役員機関投資家営業部長の鈴木規夫氏、グローバル・マーケット・ストラテジストの國京彬氏が語ったポイントを抜粋して紹介する。

金利上昇懸念でインカム資産を選好

運用にあたって注目する市場環境を聞いたところ、85%が「日本を含む先進国の超低金利」と回答。米国の量的緩和縮小・利上げを契機とした「今後の金利上昇」が最も強く意識されていることが分かった。次いで「市場のボラティリティの上昇やテールリスクの増大」45%、「新興国発のショック・新興国の成長鈍化」28%との回答が聞かれた。一方で「日本における株価上昇、円安、物価上昇の進展」など、アベノミクスへの対応を口にした基金はわずか12%にとどまった。

fig1これら懸念に対する「対応策」を聞くと、回答した124基金中、44基金が日本国債を中心とした「債券への配分減」と回答。一方で75基金が「オルタナティブへの配分増」、72基金が「インカムを主なリターンの源泉とする運用の配分増」と回答した。ちなみに「債券への配分減」との回答は昨年調査の23基金から大きく増加している。

市場のボラティリティ上昇、リスクオン・オフの急激な変化などに耐えかねて、多くの基金では、昨年調査では横ばいの傾向が見られた期待リターンや想定リスクを再び引き下げる動きが見られた。想定リスクの全体平均は2012年度、13年度の6.6%から5.9%へと大きく低下している。

外債増加、株式は国内外とも減少

fig2資産配分比率を聞くと、「国内債券」は昨年調査34.9%から34.1%に減少。「国内株式」は11.8%から11.4%に、「外国株式」は16.9%から15.8%に減少した。一方で「ヘッジ付外国債券」は4.3%から4.9%に、「外国債券」は9.9%から10.5%に、「オルタナティブ」は9.6%から11.1%に増加している。分散投資を念頭にリスクを抑えながらも、選別的にリスクをとる姿勢に転じつつあるようだ。

ただし、厚生年金基金に限っては「国内株式」が15.6%から17%に増加。足元で公的年金改革が取りざたされる中、これを先取りするような動きも確認されている。

非伝統的資産(オルタナティブ)の内訳

注目が高い「オルタナティブ」を採用する基金の割合は、「絶対収益」が73.4%と昨年調査77.9%と同様に高水準を維持。そのほかでは「保険関連(cat bondなど)」が17.1%から28%に、「リート(不動産投信)」が23.6%から25.2%に、「マルチ・アセット」が5.7%から16.1%に、「リアルアセット・デッド(不動産融資など)」が8.6%から11.2%に増加。いずれも従来資産との相関が低く、中リスクで一定のインカム・ゲインが狙えることが特長だ。

「株式」は新興国やロング・ショートなど大部分の戦略において、採用する基金の割合が減少する中で、政府の後押しを受けた「高ROE(自己資本利益率)」だけが昨年の0%から1.4%に拡大している。

(調査概要)
対象:日本国内の年金(主に企業年金)144基金(※)
期間:2014年3月上旬から6月上旬
※内訳
制度別:確定給付企業年金77.8%、厚生年金基金18.8%、そのほか3.5%
資産規模別:3000億円以上11.1%、1000億-3000億円未満28.5%、500億-1000億円未満22.9%、500億円未満36.8%、非開示0.7%

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