フィデリティ投信 日本株講演会

概 況


フィデリティ投信は4月17日に報道関係者向け講演会を開催した。「日本株市場の第1四半期レビューと今後の見通し」と「安倍政権の成長戦略に関する考察」をテーマに行われた講演内容を抜粋して紹介する。

アレキサンダーR.トリーヴス氏

アレキサンダーR.トリーヴス氏

「下落は長期投資の好機」

フィデリティ投信 運用部長 アレキサンダーR.トリーヴス氏

年初来の下げは中国経済への懸念など外的要因によるもの。長期的な視点に立てば、現在は「投資の好機」と言える。

消費増税の影響は「軽微」

前回の増税時(1997年)はアジア通貨危機が勃発したこともあり、GDP(国内総生産)成長率、実質消費支出と国内総生産もに低下した。今回は金融機関の不良債権比率が97年の5%台から2%台に低下するなど、経済状況への懸念はない。日銀短観の資金繰り判断DIを見ても、先行きに楽観的な見方を示す企業は多い。

賃金上昇「余地」に期待

過去40年間の失業率はほぼ3.5%近辺に。これは賃金上昇圧力がかかり始める水準といわれる。しかしながら、実質賃金の年間平均上昇率(1991―2011年)を見ると、米国や英国の1%台に対して、日本はわずか0.2%程度にとどまる。一方、日本の実質賃金の伸びは生産性の上昇率に劣後することから、この先の賃金上昇余地は相対的に大きいとみる。

三瓶裕喜氏

三瓶裕喜氏

「アベノミクス成長戦略は“着実に”前進」

フィデリティ投信 ディレクター・オブ・リサーチ 三瓶裕喜氏

安倍政権は「国家戦略特区制定」「TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉」「GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)改革」「日本版スチュワードシップ・コード導入」といったさまざまな取り組みに着手している。一見すると大きな進展は見られないことから、投資家は、6月以降明らかにされる成長戦略にさほど期待を抱いていないようだ。

しかし、実はこれらすべてが、企業と投資家をつなぐ取り組みとして密接に絡み合っている。中でも、1月に施行された「産業競争力強化法」の進展に着目している。内容の複雑さゆえ話題に上ることは少ないが、企業の新陳代謝を促すことで、日本経済を再生させるための法律だ。

供給過剰の是正で新陳代謝を促進

新陳代謝の促進には主に2つの方法がある。本法律では「創業期」「成長期」「成熟期」「停滞期」と、事業の発展段階に見合った支援策が想定されており、法人税の優遇制度を盛り込んだ点は画期的だ。日立製作所(6501)三菱電機(6503)三菱重工業(7011)の3社が第1号案件に名乗りを挙げている点も興味深い。

3社それぞれの水力発電部門を切り出して共同出資会社を設立。現行税制では赤字額が減ると課税対象の所得が増えるが、本法律では出資・融資額の最大70%を損金に算入できる。こうして企業は供給過剰な設備を有効活用でき、切り出された新会社側はノウハウ拡充によってグローバル規模での競争力向上が可能となる。

fig1

戻る