存在感増すフィリピン、好調のカギは「OFW」「BPO」「観光」

概 況


イーストスプリング・インベストメンツ フィリピン現地視察報告(前編)
営業部 商品企画マネジャー 片山なみえ氏

イーストスプリング・インベストメンツ 営業部 商品企画マネジャー 片山なみえ氏

イーストスプリング・インベストメンツ
営業部商品企画マネジャー片山なみえ氏

2008年末を底に長らく上昇トレンドを形成中のフィリピン総合指数。10月29日には米格付け会社ムーディーズがフィリピンの外貨および自国通貨建て長期ソブリン債の格付けを「Ba1」に1段階引き上げたことから、市場では「数年内にも投資適格級に浮上するのでは」との見方が広まり、世界の投資家たちがさらなる熱視線を注いでいる。そんなフィリピン株を投資先とするのが、イーストスプリング・インベストメンツが9月28日に設定した「イーストスプリング・フィリピン株式オープン」だ。そこで今回は、フィリピン現地視察を終えたばかりの営業部商品企画マネジャーの片山なみえ氏にフィリピン経済の現状と投資魅力について聞いた。

フィリピンの投資魅力/ASEANの大国・インドネシアとの比較

近年、投資家からの注目が高まっているインドネシアだが、フィリピンにも複数の類似点が確認される。株価の動きは共に堅調で、2008年リーマン・ショック前の水準を上回る点や(図参照)、人口動態良好で消費拡大が期待されている点など。一方で、インドネシアの名目GDP(国内総生産)規模が2011年時点でアジア5位、世界16位なのに対し、フィリピンはアジア11位、世界47位と、まだまだ大きな伸びしろが期待されている。

大規模インフラ投資、立ち上がりは目前

フィリピンはこれまで政治面で不安を抱えていたため、機関投資家が食指を伸ばせずにいたのだが、2010年6月にベニグノ・アキノ3世大統領が就任して以降、さまざまな改革が断行されている。現政権は2016年までの任期中、過去の平均を大きく上回るインフラ投資計画を打ち出しており、約7250億円が2015年の予算として見込まれている。これまで政府は予算額を提示したことすらなく、昨年はわずか1件だけだったインフラプロジェクトが足元で既に20件以上立ち上がっていることなどをかんがみても、世界の投資家が熱い視線を注がずにはいられない成長が生み出されるのは明らかだ。さらに、フィリピン株式市場の時価総額はインドネシアの半分の16兆円と、機関投資家が投資を検討し始めるといわれる10兆円規模にようやく乗ってきたところ。

株価の推移

 

フィリピンもインドネシア同様、若年層に厚みのある人口構成を有しており、当社では内需が今後のフィリピンの成長をけん引するとみている。そのため「イーストスプリング・フィリピン株式オープン」ではポートフォリオの4割以上を消費の恩恵を受けるような銘柄とした。ファンドの運用戦略の肝となる、フィリピンの個人消費を喚起する具体的な成長ドライバーと、実際に注目しているセクターをいくつか紹介しよう。

成長要因(1)OFW/絶大なる消費押し上げ効果

品ぞろえ豊富な大型スーパー

品ぞろえ豊富な大型スーパー

フィリピンは世界有数の資源国。金鉱脈など未開発の地下資源を豊富に抱えるとされるが、近年最も有望な資源が「人材」だ。とりわけOFW(Overseas Filipino Workers)と呼ばれる、海外で働くフィリピン人労働者の影響力は絶大。彼らがフィリピンにいる家族へ送金した額は2011年度で約1兆6000億円と、名目GDPの約1割に当たる。

ちなみに、フィリピンの空の玄関口、ニノイ・アキノ国際空港では入国審査などで1時間以上の行列も珍しくないのだが、OFW専用レーンが設けられているあたりからも国の手厚い保護ぶりがうかがえる

成長要因(2)BPO/目覚ましく改善する雇用環境

フィリピンの人口は1億人ほど。うち3割が大卒で、彼らの雇用先として最大の受け皿になっているのがBPO(Business Process Outsourcing)だ。かつてインドが台頭し始めた際にもよく聞かれた、業務の外部委託のことだが、インドとは全く競合しない。インドは「数字」を発明しただけあって、ハードウエア関連のサービスでは現在も圧倒的なシェアを誇るのに対して、フィリピンはフロント業務以外のすべて、24時間体制のコールセンター業務や人事部門のバックオフィスなど、とりわけ「人」に携わるBPOに強みを持つ。

今や世界中の名だたる企業が業種を問わずバックオフィスをフィリピンに構えており、私がフィリピン滞在中には、建設中のオフィスも多数目にした。今後5年間でGDPの15%をBPOで稼ぎ出すとの予測も出ている。米国統治後も英語を第2外国語とし、西洋文化への理解度も高いことも、フィリピンの強み。

成長要因(3)サービス産業/国内外向け観光業の盛り上がり

ビーチへ向かう観光バス

ビーチへ向かう観光バス

観光業は年々拡大。2011年度フィリピンには海外から年間約390万人の観光客が訪れているが、国は2016年までに年間延べ約3800万人の観光客の誘致を目標とし、道路整備やホテル、カジノ開発などの設備投資、国際線のアクセス改善などに積極的に取り組んでいる。具体的には、セブ島やボラカイ島など世界的に有名なビーチ・リゾートでホテルや空港建設を進めたり、マニラ湾岸を埋め立てて「エンターテイメント・シティ・マニラ」と呼ばれる、世界最大級のカジノ複合リゾート施設を建設中。

一方、国民の所得向上を受けて国内旅行も盛んに。私が視察に訪れた金曜の午後、マニラ市内から郊外を車で移動中、最も多く目にしたのが観光バスだった。大部分はフィリピン人の国内移動用で、最近はビーチ・リゾートで週末を過ごすことが大流行しているとのこと。

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