2014年中小型株展望 インベスコ・アセット・マネジメント 

概 況


「内需株」「企業向けビジネス」に着目

得能修氏

得能修氏

グロース運用チーフ・ポートフォリオ・マネジャー得能修氏語る

中小型株運用のプロは、2014年の中小型株市場をどうみているのか。インベスコ・アセット・マネジメントがこのほど開催した「日本株式市場セミナー」において得能修氏が語った内容を紹介したい。得能氏はインベスコ・アセット・マネジメントのグロース運用チーフ・ポートフォリオ・マネジャー。「BUY Small Today,but Big Tomorrow」を投資哲学に、将来東証1部にステップアップして活躍が期待できる銘柄を市場に先駆けて発掘し、小型株から大型株への成長を収益化することで、“尖がったリターン”を狙う中小型株ファンドを運用している。

■中小型株は今年、また上がる見通し

fig1

図1

「中小型株、特に新興銘柄は、昨年はTOPIXに比べ随分上がったが、今年はまた上がるとみている」

「過去20年間のJASDAQ市場の動きを振り返ると、相場の大きな山は3回。それぞれの安値から高値までの上昇率は、ITバブルでは『5倍』、小泉バブルも『3.2倍』。これに対して、ここもとのアベノミクスでは『2倍』と過去の波動と比べてまだまだ低く、上昇エネルギーを残しているとみている(図1参照)」

図2

図2

■リスクマネーは回り始めている

「注目されるのが売買代金。中小型株はこれまでリスクが高いといわれ回避されてきたが、ここもとはリスクマネーが隅々まで回り始めている。マザーズの月次売買代金は、2005-06年の水準に急ピッチで到達し、“小泉バブル”超え(図2参照)。一方、株価はその水準まで回復していない。『売買代金は株価に先行する』というセオリーなどからしても、将来が楽しみ」

図3

図3

■業績面から見て株価は割安

「中小型企業の業績は順調に回復している。【図3】は、ラッセル/ノムラ小型株指数を構成する銘柄の経常利益合計額の推移と、同指数の推移を重ね合わせたもので、経常利益合計額はリーマン・ショック前の07年度を『100』として水準変化を示している」

「図の通り、リーマンショックからしばらくの間、業績が良くなっているのに株価が上がらない状況が続いた。13年度は株価が随分上がって業績に追い付いてきたが、14年度はさらに業績が伸びるため、業績に株価が追い付いていない状況となる。業績面からはまだ割安と判断できる」

図4

図4

■過去のPERトレンドから見ても割安水準にある

「中小型株市場のバリュエーションは歴史的に見て割安な水準にある。【図4】は、1998年以降のJASDAQ市場のPERを示したもので、表の通り、ITバブル、小泉バブルなどを除いて、おおむね15-33倍のレンジで推移してきた。現在は2013度業績予想ベースでPER16倍、14年度業績予想ベースではPER15倍を下回り、過去のPERトレンドからしても割安といえる」

「ここもとは株価調整局面だが、売買代金は一定水準を確保し、業績も良いことから、調整幅は大きくないとみている」

■今は04年当時に似ている

図5

図5

「【図5】は、当社の代表的な日本中小型株ファンドの組み入れ銘柄のPEGレシオ(加重平均ベース)と、中小型運用コンポジットのローリング・リターンを図示したもの。PEGレシオはPERを利益成長率で割って算出され、0.9-1.6倍のレンジで動いてきた。過去、PEGレシオが1倍を割ったところがボトムとなり、底を打ってから1年間は良好なパフォーマンスを達成してきた。近年では、アベノミクス前も1倍割れを起こし、現在は1倍」

「今の状況は、04年に近いとみている。株価はある程度上がったが、成長力に対して割安という意味において。今後が楽しみだ」

■IPO件数の回復も支援材料

図6

図6

「近年低迷していたIPO(新規上場)だが、ラッシュの本格化によって中小型株への関心が一段と高まることを支援材料に、堅調な展開が期待される。14年も初値が公開価格を上回る傾向が続いており、個人投資家の投資余力も増してきていると考えている」

「注目されるのはIPO指数の伸び。IPO件数は回復傾向だが、往年の半分程度であり、限りあるIPO銘柄に大きな資金が向かっている(図6参照)」

■成長株が選好されやすい局面

「東証1部の企業業績は、13年度の35%経常増益に対し、14年度は10%経常増益がコンセンサス。10%増益となると、ある企業は増益、ある企業は減益と、企業業績はまだら模様になり、銘柄選択が難しくなる。一方、リスクマネーは市場にたまっている。お金はあるが、有望な投資先を探すのが難しくなってくるのが14年度。皆が皆、業績を伸ばせるわけでないこうした局面は、成長株が選好されやすい」

■アベノミクスと成長株の関係

「アベノミクスについては、『第1の矢』に対して、市場は期待過剰の感。日銀が追加緩和にいつ動くのか、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)がどう動くのか、といったことが気にされ、日銀などのアクションに右往左往。財政出動を柱とする『第2の矢』についても、建設業界はこれまでのリストラで人手が足りず、補正予算を増やしても執行できないことが分かってきた。『第3の矢』に対しては、市場はあまり期待しておらず、このため失望されることもないわけだが、私はひょっとするとポジティブサプライズを呼ぶような、ちょっとパワフルな政策が出てくるのではないかと期待している。規制緩和につながる政策が出てくると、がぜん、成長株が面白くなってくる。まさに04年の“小泉規制改革相場”がそうだった」

■アベノミクスの効果

「アベノミクスで良かったのは、経営者を元気にしたこと。業績も上がり、株価も上がり、経営者もやる気になっている。経済を動かすのは、“事業魂”と考えており、その意味でアベノミクスは意義深い」

「経営者の観点では、若い経営者の質が変わってきているように感じている。経営の青写真があり、そこにビジネスを当てはめるイメージ。不得意なところは、得意とする人を呼んだり、得意とする企業と組んだりしてカバー。このため、成長が早く、上場も早い」

■14年の投資着眼点

「『外需株より内需株』『個人向けビジネスよりも企業向けビジネス』に着目している。起こったときのリスクが大きい、中国の景気鈍化リスクを考えると内需株。企業はキャッシュを豊富に持っており、そこに対してビジネスを行う企業は、業績変化率も大きい。また、新しい商材、事業を持ち込んで伸ばしている企業も面白い」

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