シュローダー・グループ 「グローバル投資家意識調査」 緩やかな投資意欲改善示す

概 況


関心高まる“おまかせ型投信”

市村吉也氏

市村吉也氏

シュローダー・インベストメント・マネジメント
プロダクト推進部長兼マーケティング部長・市村吉也氏語る

シュローダー・グループはこのほど、個人投資家の投資動向や投資意識把握を目的とした、第4回「グローバル投資家意識調査」の調査結果を公表した。今回の調査から得られた興味深い傾向などについて、シュローダー・インベストメント・マネジメントの市村吉也プロダクト推進部長兼マーケティング部長(写真)に話を聞いた。

――まず、「第4回」とのことだが、毎年実施しているものなのか。

「そうだ。ただし、最初の1、2回目は、欧州の投資家だけを対象としていたが、非常に面白い結果が得られたため、昨年5月に発表した第3回からグローバルに枠を広げることになり、米国やアジアも対象となった。そして今回は、ブラジル、ロシア、インド、中国(BRICs)の投資家も加わった。ちなみに、当調査では『1万ユーロ(約140万円)相当以上の投資可能な資産を保有し、新規投資を予定している18歳以上の個人投資家』に絞っているため、一般的な無作為抽出のアンケート調査などとは違い、日々シビアに考えている投資家の“生の声”を知ることができることが特徴だ」

――近年、著しい経済成長を遂げたBRICs諸国では、個人投資家層も育っているのか。そして、今後も対象国数を増やしていくのか。

「ロシアでは、まだそれほどでもないが、中国、インド、ブラジルの個人投資家は急速に存在感を高めており、投信などに対する需要も急拡大中だ。例えばインドではIT事業、中国なら不動産売買などによって財を成した向きも多く、我々の想像を絶するような資産家が次々と生まれている。なお、今回で対象国は23カ国(計1万5749人)に拡大し、主要国は概ねカバーできた。今後、対象国の拡大は緩やかなものにとどまるだろう」

――まず、「2014年に期待する投資成果(対前年比)」だが、日本の投資家は随分、前向きだったとか。

「76%の投資家が『大幅に/多少期待している』と回答した。この比率は、アジア66%、欧州54%、米国36%など各地域を大幅に上回る(グローバルで56%)。23カ国中3番目の高さだった(1位はインド90%、2位はタイ83%)。同じ設問で実施した昨年調査の84%からは下回ったものの、今年も高い期待を持続している投資家が多いことがうかがわれる。実際、日本の投資家では、今後1年間に投資金額を『増やしたい』と答えた投資家が39%に達する一方、『減らしたい』は14%にとどまった」

――それに対し、米国の投資家の期待値が低いようだが…。

「『期待している』の36%は23カ国中で最低。昨年の調査では59%(グローバル48%)だっただけに、低下ぶりが目を引く。米国の投資家の多くはグローバル投資への関心が低く、『投資=自国投資』と考えている。米国ではこの1年、株も債券もハイイールド債も大幅に上昇したため、行き過ぎ感が冷静な投資スタンスにつながっている可能性がある」

――昨年は、例えば欧州でも株式などの大幅上昇が見られたはずだが。

「欧州株は、経済危機で急落した後の、いわば水面下からのスタートだったため、一貫して上昇基調を続ける米国株とは、そもそも水準感が違う。それと、もう1つの背景として、2期目を迎えたオバマ政権の政策運営への不安感なども、個人の投資姿勢に影響している可能性がある。事前の期待値が高かった分、失望感も生じているようだ」

――「今後の投資における懸念要因」(複数回答)も、昨年とはかなり異なる結果となったようだ。

「典型的なところで、『欧州債務危機』を挙げた投資家はグローバルベースで、昨年の49%から19%に低下。日本の投資家でも41%から11%に急減するなど、懸念要因は各項目おしなべて低下傾向を示している。この1年間、特に大きな問題に発展することもなかったのが背景で、昨今のリスク許容度の高まりにつながっている。懸念要因の中で、最も高い数値を示したのは、グローバル(26%)、日本(41%)ともに『増税』。日本では、消費税率上げを控えた調査時期の影響も反映されている」

――日銀が2%インフレ目標を掲げているにもかかわらず、懸念要因の項目で「インフレ」が前年よりも低下したとか。

「日本では前年の19%から16%に下がった(グローバルでも28%から24%に低下)。昨年の調査時期がちょうど、日銀による“異次元緩和”の始まった時期。1年経ってみて、思ったほどには進んでいない、ということも背景ではないか。とはいえ、『デフレ』懸念も10%から5%に低下しており、物価下落は終わったとの認識も強まっている。これらの項目については、来年の調査でどうなっているのか楽しみにしておきたい」

――各調査の中でも、最も気になるのは、「2014年に有望視している投資先」だ。特に、「株式」について、日本の投資家の28%が「日本株」を挙げていた(次いで「アジア株(除く日本)」の18%)。

「昨年の調査を見ると、日本株は54%に達していたが、これは、アベノミクスへの期待感が大きく膨らんだ時期の調査だったため。1年を経て当時の熱気が薄れた後も、数字こそ下がったが、引き続き日本株への期待が最も高いことが示されたのは興味深い」

――ただ、全体で見ると、日本株を有望視する投資家は6%にとどまり、17%の米国株や10%の欧州株、9%のアジア株(除く日本)などを依然、下回っている。

「これについても、昨年調査との比較で見ると、少し違った側面が見えてくる。昨年は、アジア株(除く日本)が36%と圧倒的に高く、次いで米国が19%、日本株は9%にすぎなかった。アジア株が36%から9%に急落する一方で、日本株は9%から6%への小幅低下にとどまり、むしろ相対的な存在感を高めていると言うこともできる」

――アジア株の評価が低下した背景は何か。

「アジア株というより中国株の影響だろう。特に欧州の投資家には、中国株に対して、あこがれにも似た強い選好姿勢を持つ向きが多かったが、昨今のシャドーバンキング問題や汚職問題の顕在化を受け、選好度が下がってきたようだ」

――日本向けの設問として、「資産配分おまかせ型」投資信託へのニーズは引き続き旺盛なようだ。

「『資産配分おまかせ型(アセットアロケーション)』というのは、複数の資産に投資を行い、市場環境に応じてその投資比率を柔軟に調整する投信のこと。自分で行うのが難しい資産配分をプロに任せ、マーケットを見ながら機動的に実施してもらうものだ。『関心がある』は昨年調査と同じ60%、『関心がない』は18%から8%に低下した。実は、関心が薄れているのではないかと懸念していたが、結果的に『うれしい誤算』となった。昨年は、NISA(少額投資非課税制度)導入に向けて、投信各社が同種のファンドの設計に力を注いでいた時期。ただし、日本では従来、バランス型投信はあまり普及してこなかった。設定時のまま資産配分を固定するタイプがほとんどだったことも背景にある。今回の結果は、機動的な変更を伴うタイプが市場に受け入れられてきた表れとみてもいいのではないか」

――シュローダーでも、こうした「おまかせ型」のファンドを出しているのか。

「『シュローダー・インカムアセット・アロケーション』の毎月決算型を昨年6月に、1年決算型を同8月に設定した。現在も、池田泉州銀行、SMBC日興証券、SBI証券、髙木証券、東海東京証券、楽天証券、ワイエム証券の7社を通じて、いつでも購入できる。債券、高配当株式のほか、REIT(不動産投信)などの『その他資産』と、インカムを生む資産に限定して投資する分かりやすい商品設計で、トータルリターン7%を上回る安定した運用成果を目標に掲げている」

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