日本株相場の展望と運用戦略を聞く BNYメロン・アセットマネジメント・ジャパン

概 況


目指すは継続的な超過収益の獲得

鹿島美由紀氏

鹿島美由紀氏

マネージングディレクター 日本株式運用本部長 鹿島美由紀氏

日本株相場はこのところ足踏み状態が続いている。今後の日本株相場の中長期見通しについてファンドの運用担当者はどう考えているのか。BNYメロン・アセットマネジメント・ジャパンで日本株式運用チームを率いる、同社マネージングディレクター、日本株式運用本部長の鹿島美由紀氏に、同チームの運用哲学や戦略などとともに聞いた。

日本株は、外国人投資家の買い余地なお大きい

外国人投資家は昨年、日本株を15兆円も買ったにもかかわらず、いまだアンダーウエートの状態にある点が大きいと考えている。アベノミクス相場の反転が始まる前、外国人投資家は3%以上のアンダーウエートとなっていたもようだが、最近は1.5%程度までに縮小している。過去と比較すると、第二次・三次小泉政権当時の株式相場はかなり上昇した。スタート時点で1―1.5%程度のアンダーウエートの状態にあったものが、ニュートラルから若干オーバーウエートになる間に28兆円ぐらいの買い越しとなった。今回はこれまで3%のアンダーウエートから1.5%のアンダーウエートまで15兆円の買い越しとなっているが、今後、日本の経済の見通しが悪くないと考えれば、または、特に良いと考えなくともニュートラルに向かうだけでまだかなりの資金流入が期待できるのではないかという状況は現在もまだ変わっていない。

■業績面から見たカイ離

昨年、日本の株式市場は50%も上昇しただけに、まだ大丈夫なのという警戒の声が海外から聞こえてくる。海外市場は、業績も2007年の金融ショック前まで回復し、株式市場もそこまで回復しているが、日本の場合、業績が低迷した後リバウンドしたのに相場は下げ続けたという経緯があり、07年を基軸にするのは正しいのかどうかは分からないが、日本はまだまだそこまでカイ離があることで、業績面から見るとまだキャッチアップしていないと考えている。海外の投資家は、昨年50%上がってもギャップは大きいと受けとめているようだ。日本を買うのは、世界景気が良い時にギャリングのかかった、つまり日本経済そのものは低迷していた中で、魅力的なところは輸出企業がメーンだったので、このセクターが買われたり、過去、ITバブルと、07年まで相場が強かったのは、海外とツレ高したりした面が大きい。今回は、日本自体、失われた20年、デフレ時代から脱却できれば、これは内需のストーリーであり、今までのリバウンドとはキャラクターの違った相場になるかとの考えが、外国の投資家はそこまで信じてはいないかもしれないが、ちょっと考え始めている段階にあるとみている。

■マイナスからプラスへの意味

また、GDP(国内総生産)を見るとき、世界的にはどうしても実質GDPがスタンダードになっているため、名目GDPへの関心が低いが、日本の名目GDPは1997年にピークアウトしてから2012年まで1割近く下がった。実質GDPにとらわれて、海外でも、日本でも、名目GDPは横ばいというイメージがあるが、実際はかなり縮小したとのフェーズから、今回若干のインフレが入ってくると、伸び率はそんなに高くは見えないが、名目がボトムアウトしてプラスになってくると、個人も、ビジネスをやっている方もマインドが全く違ってくる。金額が大きくなるのと小さくなるのとは全然違う。売り上げが下がっているのに、デフレーター調整すると売り上げは伸びていると言われても実感がない。ある程度インフレがあっても数字が大きくなることでマインドが昨年と比べ変わってきている。今回、大きな幅ではないが、給料も上がる。すべての数字が実質プラスになっていくのが大きな転換点と考えられる。先の13年10―12月期GDPの数字は、外部要因で弱めに出たが、実際の政府予想の2.5%に届かないかもしれない、またインフレも2%に達しないかもしれない。しかし、目標に届く、届かないというより、マイナスからプラスに転換することが非常に大きい。株式市場でも、個別銘柄ではマイナスからプラスに転じた際に大きく利益が上げられるチャンスがあるとみている。個人も企業も、長いデフレ下でキャッシュフローを積み上げてきた。銀行の預貸率も60%程度まで低下している。ここにきても貸し出しがなかなか伸びないことが指摘されている。しかし、預貸率は20年もかけて下がってきただけに、そう簡単に100%までは戻らないだろう。しかし、裏を返せば、これが100%に戻っていく過程では相乗効果で、かなり長期にわたってプラス効果をもたらしてくれる可能性があり、その意味では、業績は比較的堅調なので、マーケットはそこでキャッチアップする可能性があることに加え、預貸率が改善していけば、経済に与えるプラス効果は長い間、恩恵を受けると考えている。

■チームの運用哲学

当日本株式運用チームは、INGとBNYメロン双方の合意で13年4月にINGからBNYメロンに全員が移籍した。運用部門すべてがこちらに移ったことで、運用のトラックレコードをそのまま持ってきて、09年半ばからの運用実績を持ってくることができた。当チームの投資哲学はオーソドックスだが、いくつかポイントがある。まず継続的に超過収益を目指している。機関投資家でも、リテールのお客さまでも毎年勝ってほしいというのを感じる。もちろん毎年利益を出せる保証はないが、目指さないとそこに行けないと考えている。もう一つは銘柄選択で勝ちたいが、中長期的な視点を重視している。ここ10年、20年、投資期間がかなり短くなってきていると思うが、足元だけでなく、2、3年業績がしっかりしていて、皆さんの期待値を結果的には上回り、バリュエーションも魅力的な銘柄を発掘したい。2、3年しっかりした銘柄とはいえ、それが分からない銘柄が多いが、分かる銘柄に投資する。何千社の中で投資したい銘柄はそれほどないが、それをじっくりと探し当てていこうという運用が勝負になると思う。銘柄の着眼点は2、3年単位で見ているが、毎年勝っていきたいということを目指すには、リスクコントロールをしながら、ポジションの調整をかけながら、リスクをしっかり見ていきながら運用していかないといけないと考えている。

当チームは、5人中、私を含め3人が女性と多い。おそらく、日本はもちろん、世界でもそうないことかもしれない。しかし、女性だから選んだわけではない。ベストなスタッフを選んだ結果、たまたま女性が多かったということだ。運用という舞台では、男女関係なく、いろいろな人間がいたほうがプラスになるとは言える。

■運用パフォーマンス

「BNY Mellоn日本株式アクティブ(コンポジット)」のパフォーマンスは、09年6月から毎年着実に利益を出しており、例えば、10年から12年にかけて見ると、マーケットの上下の方向性とは関係なく付加価値を付けられている。年平均で3%ほどの超過収益を確保している。同業他社との比較では1年、2年、3年ともトップの25%の中に入る結果となっている。コンスタントに出すことが重要と考えている。また13年12月までの3年のパフォーマンスで、超過収益は25%以内、標準偏差は振れという意味で一番下、第1四分位に、トラッキングエラーは真ん中より上、インフォメーションは取ったリスクに対するリターンはトップ25%に入っている。評価機関のマーサーさんの定義でパフォーマンスがスキルなのか運なのかという判断でスキルと評価されている。ポートフォリオ特性(13年12月末時点)が、組入銘柄数約75銘柄、トラッキングエラーが3.4%となっている。この代表的なファンドがING投信から移っても運用を行っている「アイエヌジー日本株式オープン」で、先日日経マネーで「投信大賞」をいただいた。安定的に超過収益が出ている点などが評価された。

このほか、考え方は同じで「BNY Mellоn日本小型株式集中投資型」がある。20―30銘柄に集中投資するもの。12年は超過収益がちょっと下回ったが、中長期的に見ている銘柄は、自信を持ってアンダーパフォームした時にはポジションを増やして13年にはアンダーパフォームした分は十分に取り返した。同業他社比較では「BNY Mellоn日本株式アクティブ」と同様の傾向が出ている。ポートフォリオ特性(13年12月末時点)としては、組み入れ銘柄数が約25銘柄と少ないだけにトラッキングエラーは8.9%と高いが、スパイスの効いた運用といえよう。

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