ナティクシスグループの強みと戦略 傘下に各分野の世界的な運用会社抱える

概 況


ルーミス、ハリス、AEW、オーロラをコアに

加藤欣司氏

加藤欣司氏

ナティクシス・アセット・マネジメント
日本・アジア代表 加藤欣司氏に聞く

ナティクシス・グローバル・アセット・マネジメントは、運用資産残高が8382億ドル、規模で世界の上位15社の1つにランクされている。米国、欧州、アジアに20以上の関連会社を持つマルチ・ブティック型に特徴があり、幅広いアセット・クラスおよび投資スタイルにわたる専門性を持っている。そのグループの日本国内で事業展開を行っているのが日本法人のナティクシス・アセット・マネジメント。同社日本・アジア代表の加藤欣司氏にナティクシスグループの特徴や強み、今後の展開などについて聞いた。

日本でのビジネス、着実に拡大

■日本やアジアへの進出

1997年までは私が入社したルーミス・セイレスも、また、ナティクシスグループ全体としても日本をはじめ国際ビジネスに進出していなかった。同社は専門誌の運用ランキング上位の常連で、機関投資家などの間では知る人ぞ知る存在だったが、運用力と調査力で勝負するという方針の下、高いパフォーマンスを上げることよってマスコミに取り上げられることを重視し、宣伝はしなかったため、一般的には知名度が高くなかった。私がルーミスの国際部門のヘッドとして日本やアジアに同社を案内したいという意向を受けて入社した。その背景として1つには1998年に銀行で投信の窓口販売が始まったこと。もう1つは日本の運用会社が海外の運用会社に完全な外部委託できるように法改正がなされたことがある。日本に運用会社を設立してライセンスを取ることをしなくとも海外で運用力と調査力があれば、日本の運用会社が組みたいと考えれば、共同で商品を出すことができる。海外にいながら日本のお客さまに商品の提供が可能となったわけだ。かつ日本では当時、運用会社の投資対象として社債がなく、国債と株式だけだった。一方、アメリカは国債、株式に加え、社債があり、当時、市場規模は社債が国債を上回るほどだった。日本に社債市場はほとんどなかったが、海外にそれだけ大きな社債のマーケットがある。為替をヘッジすれば、日本で社債市場を作ることと同じなので、この結果、日本の投資家が投資できなかった市場へのご案内ができる環境が整ったといえる。

■日本からの預かり資産はほぼ一貫して増加

私は、内外の運用会社数社を経て、社債やクレジットの分野で定評を得ているルーミス・セイレスに1997年に入社した。その後、2000年にナティクシス・グローバル・アセットマネジメントの母体となるフランスの金融機関に買収されて、その際、アメリカのメトロポリタン生命の運用子会社―ルーミス・セイレス(リサーチ重視の債券・株式運用)、ハリス・アソシエイツ(株式バリュー投資)、AEWキャピタル・マネジメント(不動産投資)、オーロラ・インベストメント・マネジメント(オルタナティブ投資戦略)という4つのコアの運用会社全体を日本にご案内するようになった。2000年の終わりに買収が完了、2001年秋に私はルーミスだけでなく、グループ全体の事業にかかわるような立場になって、実際に2002年からルーミス以外の運用会社のビジネスを担当、日本からの預かり資産はほぼ一貫して増えている。グループで日本のお客さまからの直近の預かり資産は1兆6000億円強まで拡大している。うち5000億円強が年金基金向けの直接投資顧問契約の分、1兆円余りが提携会社などを通じた分となる。なお、ナティクシスグループの運用会社が運用している日本の投資信託は直近で、債券ファンド、株式ファンド合計で16本を数える。

■グループ傘下の運用会社の特色

運用に当たっては徹底した調査を最も重視している。そのために運用会社は調査に相当の予算と人員を割いている。2008年のリーマン・ショックでルーミスが得意とするクレジット、ハリスが得意とする株式はともにマーケットが暴落、他社ではリストラが活発化する中でさえ、将来を見込んで調査や人員の強化に動いた。ルーミスの場合、昨年は調査に77億円をつぎ込んでいる。調査部門に資源が集中的に投下されている。もちろん業界最大規模だ。ハリスなどほかも同様でナティクシスグループ全体では相当な調査費となっている。

当グループは単に1年のパフォーマンスをご案内するのではなく、定性的な強みをご案内して、例えば、債券ファンドで、クレジットなら投資適格債に投資するかハイイールド債に投資するか、あるいはグローバルなクレジットに投資をするか、それらを取り入れたグローバル債券に投資するかなどを提案している。リサーチをしっかりとやっているというスタイルと、当グループが最も力を入れている中長期の資産形成に貢献できることを理解してもらえるように説明している。従って、短期的に何かが起こって一時的に保有している社債や株式の評価や値段が下がっても、お客さまがこの方法を信じていただいているなら、マーケットが落ち着つくと、運用パフォーマンスはしっかりと戻る、あるいはマーケットのほかの商品よりもっと利益が回復する。そうしたマーケティング活動をしており、大半のお客さまに理解してもらっている。

2008年前後においても、市場のプライシングが下がっているにもかかわらずある程度の資金が集まり、預かり資産残高を維持することができた。一時的に評価が下がっても、例えば、翌年などかなり短期的にしっかり回復するということが重要なことだ。そうなれば、お客さまがさらに信頼を厚くして、その後も資金の流入が増えていく。1年は損をしても、その後は非常にしっかりしたリターンを上げていく。2年、3年、あるいはもう少し持っていただいたなら損失が出る可能性が少ない、安心して中長期の運用、資産形成を任せられるということにフォーカスしている。実際に昨年12月に運用を開始した「インカムビルダー」(設定はみずほ投信投資顧問)の投資対象である「ストラテジック・インカム・ファンド(クラスM)」(運用はルーミス・セイレス)は、たとえ1年損があっても3年では損をすることがない、1回下がってもその後はしっかり稼ぐという結果が示されている。これが当グループの目指す中長期のしっかりとしたパフォーマンスを上げ続けていくことだ。そのためにしっかりとした調査を行っている。この結果として資産の増加につながっている。

一方で、当グループ内に、債券だけでなく、株、不動産、ヘッジファンドという4つの各分野でアワードを受賞している著名な運用会社を抱えているという大きな特徴を生かして、さまざまな資産に分散した商品を提供できることが、当グループが目指しているところだ。

■NISAで強み発揮できる投資戦略

また、最近の投資信託では高配当を売りにした流れがあるが、当グループはそうした商品はやっていない。中長期で持っていただけるお客さまにはしっかりしたリターンを提供できる。今回のNISA(少額投資非課税制度)の導入の本来の動機である中長期で資産形成に役に立て、将来の年金などに備えようという意図に合致した考え方であり、販売会社もそうした分野を強化しようとしている。「インカムビルダー」もそこを目指した商品だ。配当を年1回だけという商品にも結構資金が集まっている。今後、中長期的な資産形成を目的とした投資信託への重要な変化が起こってくると予想している。その意味で、NISAは、まさに当グループの強みが十分に発揮できる制度だと考えている。

■2013年のバロンズ/リッパーの米国ファンドファミリー・ランキングで1位を獲得

ナティクシス・グローバル・アセット・マネジメントは、米国を拠点とする資産運用会社の2013年の運用成績の評価に基づくバロンズ/リッパー・ファンドファミリー年次ランキングで第1位に選ばれた。同ランキングは運用会社の総合ランキングを示したもの。ナティクシスグループはそれぞれの分野で強い運用会社を持っていることはこれまでお話しした通りだが、2013年のランキングを見ると、米国株は1位、外国株は2位、バランス型は2位、債券は1位で、総合で1位を獲得したもの。具体的に見ると、米国株ではハリスのブランドネーム「オークマーク・ファンド」が1位で貢献、外国株では「オークマーク・インターナショナル」が2位で貢献、バランス型はハリスによって2位に、債券はルーミス・セイレスの債券ファンドで1位になった。各分野での強い運用会社の存在が、ソリューションを提供するという、ナティクシスグループの大きな戦略につながっている。各分野で強い運用会社を抱えていれば、お客さまのニーズを伺い、どのようなファンドが最適なのか提案したり、ポートフォリオの構築などで解決策を提供することが可能で、それがまたお客さまの信頼を築くことになる。

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