日本「ゴールデン・サイクル」到来! 三菱UFJ投信「投信セミナー2014」開催 

概 況


金利上昇に備えて「バンクローンF」注目高まる

三菱UFJ投信は2月7日、投信販売会社向けに「投信セミナー2014」を開催した。第1部では三菱UFJモルガン・スタンレー証券参与、同社景気循環研究所長の嶋中雄二氏が「内外景気展望」について語り、第2部では投信運用会社らが今後注目される運用戦略について語った。

第1部/2014年度の内外景気展望~ゴールデン・サイクルの時代~

嶋中雄二氏

嶋中雄二氏

三菱UFJモルガン・スタンレー証券参与、景気循環研究所長
嶋中雄二氏

世界経済は「新産業革命」で引き続き上昇

「好景気と不景気は一定のサイクルで入れ替わる」という景気循環論の観点から言うと、世界経済は2011年から上昇局面入りしたとみられる。
「コンドラチェフ・サイクル」は、1783年から56.5年周期で続く超長期の景気サイクル。第1波は蒸気機関車や織物を生み出した第一次産業革命に該当。その後1897年から始まった第3波では電気や自動車、1953年からの第4波では石油化学や原子力など、都度、新しい産業を生み出してきた。
現在の第5波についても米国シェールガス革命のほか、日本が注力する再生可能エネルギー、iPS細胞など再生医療といった新技術が誕生。こうして当面は日米の技術力を基軸に、引き続き世界経済の回復が続くとみられる。

米国:金利上昇・インフレ局面へ

米国の長期国債金利の推移から読み取った「コンドラチェフ・サイクル」も上昇局面入りを示唆。今後、米国は金利上昇・インフレに転じるとみられる。米国金利の「コンドラチェフ・サイクル」は、第1次世界大戦後の1945年から上昇局面入りしてインフレ基調が続くも、1981年をピークに下落、デフレに転じた。そして2012年には前回起点の1945年と同水準にまで低下していた。

新興国:先進国とともに上向き

米国の緩和縮小に伴う新興国景気の悪化が不安視されている。しかし、先進国の回復とともに、こちらも上向きとなることが想定される。OECD景気先行指数からも足元では顕著な悪化は観察されていない。

日本:46年ぶり「ゴールデン・サイクル」到来!

日本は2013年より「ゴールデン・サイクル」に突入した。「ゴールデン・サイクル」とは、4.4年周期の「キッチン・サイクル(短期、在庫投資循環)」、9.4年周期の「ジュグラー・サイクル(中期、設備投資循環)」、25.5年周期の「クズネッツ・サイクル(長期・建設投資循環)」、そして「コンドラチェフ・サイクル(超長期・インフラ投資循環)」と、4つの景気循環すべてが上昇ベクトルで重なる状態のこと。当面は2%ほどの成長が続くとみる。

●消費増税の影響は「薄い」

反動で4-6月は落ち込むが、7-9月期から盛り返すとみている。ちなみに1989年4月の消費税導入、1997年4月の引き上げ後はいずれも株価が上昇。ただし、1989年はその後5度も公定歩合が引き上げられた上に、不動産向け融資を制限する総量規制が導入されたことでバブルが崩壊。1997年は直後にアジア通貨危機がぼっ発したことで株価下落を招いた。今回はマネタリーベースを2年間で2倍にするとの異次元金融緩和と、5.5兆円規模の経済対策など積極的な財政出動を伴うことからも、消費増税は株価に大きなインパクトをもたらさないだろう。

●インフレ2%目標は達成可能

1980年以降のCPI(消費者物価指数)と、潜在GDP(国内総生産)と現実のGDPとの差を示す「GDPギャップ」の関係から推計すると、2015年1-3月期に2%インフレを達成するためには毎四半期ごとに0.7%のギャップが必要。ところが消費者物価指数は2013年10-12月期に1.1%と、2%インフレ達成に必要だと思われる水準0.8%を超過気味に推移している。

●成長のカギは設備投資

設備投資は2013年から上昇局面に入った可能性が高い。1951年以降、日本の設備投資の対GDP比率は例外なく4.75年ずつで「拡張優勢期」と「拡張劣性期」を交互に繰り返している。この「ジュグラー・サイクル(中期・設備投資循環)」は9.5年周期で繰り返すことから、今回の「拡張優勢期」は2017年まで続くとみられる。

「ジュグラー・サイクル」はこれまで、1956年から始まった「所得倍増」、1984年「バブル」、1994年「IT革命」といったイノベーションを日本に引き起こした。そして2013年からの第7波では2020年の東京オリンピック開催に向けて「観光・文化発信」の波が盛り上がることが期待されている。オリンピックがもたらす経済効果は約29兆円ともいわれ、観光が自動車に匹敵する産業に育つ可能性も。

第2部/今後注目される新たな運用戦略と投資資産~米国バンクローンの現状~

山本真一氏

山本真一氏

ピムコジャパンリミテッド エグゼクティブ・バイス・プレジデント
アカウント・マネージャー 山本真一氏

世界規模でバンクローンの活用が増加。先進国を中心に市場環境が大きな転換期を迎えた今、新たな備えとして注目を集めている。

金利上昇への耐性で脚光

バンクローンは銀行の企業向け融資の一種。流通市場において一般的な債券や株式と同様に取引されている。日本の投資信託市場では2013年半ばよりバンクローンに投資するファンドの設定が相次いでおり、本数は年初の3本から、年末には46本に。販売会社数も6社から31社に拡大している。

類似した投資商品にハイイールド債券がある。これまではハイイールド債券に投資するファンドへの注目が高く、国内の残高は足元で5兆円ほどにまで拡大している。米国でもハイイールド債券ファンドへの注目は高いのだが、昨年5月の量的緩和の縮小観測に伴う金利上昇時にはいったん大きく資金流出に転じたこと、一方でバンクローンファンドへの資金流入が継続したとの現象が見られたことで、バンクローンファンドの存在感が高まった経緯がある。

バンクローンは大きく3つの優位性を持つ。

特徴(1) 高い弁済順位:一般的にバンクローンには担保が設定されており、企業の資本構造の中では社債などに比べて高い弁済順位を有する。企業が破たんした場合などにおける回収率(1987年から2012年までの平均)はバンクローンが80.6%と、担保付社債の63.7%を大きく上回る。
特徴(2) 金利上昇に強い:バンクローンは変動金利の資産。LIBОRなど基準金利に、企業の信用力などに応じて金利が上乗せされる。基準金利も一定期間ごとに見直され、金利リスクが相対的に低い。1994年以降これまで7回の金利上昇局面では、米国ハイイールド債券のリターンはマイナスに転じる場面もあったが、米国バンクローンは常にプラスを維持している。
魅力(3) 「低い」ボラティリティ:「優先担保の設定」「変動金利」との特徴から、バンクローンのデフォルト率(1996年12月から2013年12月までの平均)は3.52%と、同等の格付けを有するハイイールド債券の5.02%に比べて低い水準で推移している。

インカムニーズを満たす解決策

米国債務問題や欧州崩壊といった世界的な危機が薄まり、日本は6年ぶりに円安基調に転換。日本人投資家はこの先、構造的な円安基調に対応するべく、外貨を活用したポートフォリオの構築を検討すべきタイミングを迎えている。これまでのデフレ環境下では有効だった預貯金も、インフレが本格化すればリスク性資産へのシフトは必至。資産運用に対する重要性は一段と高まるだろう。

米国の金融緩和縮小の先には利上げが想定され、債券価格は下落が見込まれる。ところが定期的なインカムを生む債券投資へのニーズは依然高く、そんな投資家向けの解決策としてバンクローンは有効だと考える。

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