世界・各地域の投資戦略・リサーチ責任者が語る、次の投資先は ラサール インベストメント マネージメント インク「2014年グローバル不動産投資戦略セミナー」 

概 況


世界有数の不動産投資顧問会社、ラサール インベストメント マネージメント インク(本社・米国イリノイ州シカゴ)は、2014年の不動産投資をどう見ているのか。ここでは同社が開催した「2014年グローバル不動産投資戦略セミナー」をベースに、投資戦略の全体観、地域別の不動産市場予想および投資戦略のポイントを紹介したい。

ジャック・ゴードン氏

ジャック・ゴードン氏

2014年の投資戦略全体観

ラサール インベストメント マネージメント
グローバル投資戦略・リサーチ責任者 ジャック・ゴードン氏

D(人口動態)、T(技術革新)、U(都市化)で投資先選別を

「2014年は、09年以降に購入した物件をはじめとする安定稼働不動産を売却してリターンを確保する絶好の時期であるのと同時に、資金が潤沢な環境だけに、不動産投資家は、①投資回収によって得た資金をどこへ再投資するべきか②金利上昇により不動産価格は下落するのか、それとも15―16年まで不動産市場の回復基調と低金利が続き、不動産価格はさらに上昇するか――といったいくつかの課題に直面する」

「こうした中、これまで不動産投資対象は『優良物件』に絞られてきたが、われわれは今後はもう少しリスクの高い物件にシフトするのが望ましいと考えている。これにより不動産市場の成長機会をとらえつつ、金利上昇が不動産価格へ与える悪影響をできるだけ抑えられよう」

「不動産の投資戦略を練る上では、不動産需要を生み出す原動力となる『D』(人口動態)、『T』(技術革新)、『U』(都市化)を念頭に置く必要がある。人口動態としては、不動産ユーザーの世代交代による嗜好(しこう)の変化を考えたい。具体的には、1980年から2000年代初頭に生まれた、いわゆるミレニアム世代の嗜好も踏まえたい。この世代が次の時代の不動産のメーンユーザーになるためだ。技術革新では、インターネット利用が進むことによるオフィス環境の変化、eコマース(電子商取引)市場の拡大で物流施設に求められる機能が変わってきていることが挙げられる。都市化については、今や世界人口の50%以上が都市部に集まっている。この傾向は今後も続き、大都市はますます大きくなり、人口密集度もさらに高まっていくことが予想される」

北米

都市型商業施設に注目

「北米の不動産市場は堅牢(けんろう)なファンダメンタルズによって支えられ、過去平均と同水準にある国債との利回り格差、過去最高水準の豊富な資金量を背景に、不動産市場に資金が流れているが、これからの投資は、競合が増えているため十分戦略を練る必要がある」

「われわれが最も『オーバーウエート』としているのは『ショッピングセンター』だ。もちろんどれでもいいというわけではなく、主要な通りに面した都心型商業施設、食品スーパーを核テナントとする商業施設に注目している。このほか、『ミレニアム世代に人気の都心近郊の賃貸住宅』『需給バランスが回復に向いている都市部のリース期間満了のオフィス』『主要拠点での物流施設開発』『メディカルオフィス開発』なども有望とみている」

欧州

主要ビジネス地区の辺縁部に投資魅力

「欧州経済について依然としてネガティブな見方をしている人も少なくないと思われるが、数年ぶりに成長の兆しが出てきており、準主要都市の経済も安定、あるいは、改善しよう。都市別では、ロンドン、パリ、フランクフルト、ミュンヘン、ストックホルムなどが非常に強い。ただ、ロンドンにしても場所によって異なり、ロンドンではビジネス中心地区の辺縁部や学生向け住宅への投資が魅力的と考えている。そのほかの主要都市についてもビジネス中心地区の辺縁部は投資魅力が高いとみている。日本も東京23区でなくとも、首都圏でインフラが整備されているところは魅力的とみている」

ポール・ゲスト氏

ポール・ゲスト氏

アジア太平洋

ラサール インベストメント マネージメント
アジア太平洋地域投資戦略・リサーチ責任者
ポール・ゲスト氏

トップピックはオーストラリア、香港、シンガポールなどの物流施設

「アジア太平洋地域は、アベノミクスが需要を刺激する一方、地域経済は低所得者から中所得者が増え構造的に減速傾向と、2つの相反する勢力がある。主要国のうち、中国は広く社会・経済に影響を与える構造改革をとらえようとする動きも出ているが、構造改革には時間がかかり、しばらくボラティリティが高い状況が続こう。オーストラリアも日本と同じように不動産利回りと国債利回りがカイ離している。内需のけん引役を鉱業関連投資から消費・サービス産業へ転換する構造改革が行われていることも注目される」

「当地域での投資機会のトップ3は、ナンバーワンがオーストラリア、香港、シンガポールなどの物流施設。ナンバー2は日本とオーストラリアの商業施設。特に人が多く住む郊外にあり、食品や家庭用品などを扱う物件を気に入っている。ナンバー3は、割安感があり、賃料引き上げの可能性があるオフィス。これは欧州と同様に都市の辺縁部にあることが多い」

高野靖央氏

高野靖央氏

日本

ラサール不動産投資顧問 投資戦略・リサーチ部
高野靖央氏

14年、15年はコア投資対象拡大へ――東京以外の主要都市の物件にも資金流入へ

「不動産と債券の利回り格差が過去最高水準にあること、将来的に金利が平常化する可能性が高いことなども背景に、日本の不動産市場への資金流入が増えてきており、今年と来年は『低リスク・低リターンを求める投資家の“コア投資対象”の拡大』が最も大きなテーマになるとみている。投資戦略を練る上では、①経済見通しは短期的にボラタイル、長期的には高齢化で低成長性②金利上昇リスク③インフレリスク――などを踏まえ、『割安感重視』で『不動産利回りが高い物件』『インフレヘッジ機能を持つ物件』に注目したい」

「東京のハイクオリティーな物件は今年中に市況ピーク(最低水準の利回り)に達しよう。一方、主要都市である大阪、名古屋、福岡は市況ピークからまだカイ離している。さらにそれ以外の地方都市は利回り改善が見られていない、という状況にある」

「これらを勘案すると、“コア投資対象”は、将来的に売却益を取りやすそうなグレードのやや低い不動産や、東京以外の不動産に広がっていくとみられる。リースアップなどにより高リターンをとることもできよう。不動産のタイプ別では、郊外型商業施設は東京圏、大阪など主要都市ともに最も回復しておらず、将来的にコア投資対象になるとみている。オフィスでは大阪は相当底打ちしてきた感触を持っている」

トッド・カンター氏

トッド・カンター氏

グローバルREIT市場

ラサール インベストメント マネージメント セキュリティーズ
上場不動産証券投資部門 アジア太平洋地域 CEO
トッド・カンター氏

グローバルREITを組み入れることで分散投資実現

「REIT(不動産投信)は伝統的な株式、債券と動きが異なり、REITをポートフォリオに組み入れることで、分散投資を行える。また、REITは配当要件がしっかり定められており、分配金が高め。インカムを享受するのに魅力的なセクターといえる。配当利回りとしては4%程度以上が期待でき、これは国債利回りを150ベーシスポイント上回り、伝統的株式と比べると200ベーシスポイント上回る。グローバルREITは、世界のREITに投資するため、地域分散を図ることができ、同時にセクター分散も図ることができる」

「不動産市場の回復は今後3年間続こう。中でも今年は先進国の不動産は力強く伸びるだろう。グローバルREITもこれに従い、毎年6.5%の収益成長を生み出し、配当も収益と同等のペースで伸びるとみている。純資産価値に対し割安な銘柄が少なくなく、現在は投資チャンスといえる」

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