GAM新春セミナー 2014年世界のマクロ経済展望

概 況


GAM証券投資顧問は1月22日に「新春セミナー」を開催。スイスを拠点に運用総資産1232億米㌦(約12.1兆円、2013年6月末時点)を保有するGAMグループが運用するファンドのマネジャーらを招集して、世界経済、債券市場、株式市場における2014年の展望が語られた。

テーマ(1) 2014年の主な投資戦略

ロッセン・ジュノブ氏

ロッセン・ジュノブ氏

ヘッド・オブ・ジャパンビジネス
ロッセン・ジュノブ氏

2014年、世界の見通しはますます楽観的になるだろう。米国経済は本格的な回復を遂げ、欧州も“集中治療室”から抜け出して調整を続けている。日本についても昨年に引き続き“興奮”が見られそうだ。ただし新興国については「割安」との声が聞かれる一方で、商品市況の状況から「弱含みがまだ続く」とみる向きも。

「欧州株」に脚光の兆し

欧州株は今年の“ホットスポット”になるとみている。米国投資家の欧州株購入実績を見ると、2003年以降の累積購入額が過去の購入ペースを大きく下回っており、今後は機関投資家を中心に注目が高まることが想定される。

テーマ(2) 各国金融政策とグローバル債券市場の見通し

ティム・ヘイウッド氏

ティム・ヘイウッド氏

インベストメントディレクター ビジネス・ユニット・ヘッド
ティム・ヘイウッド氏

足元で利回りが上昇に転じており、債券は中長期的な弱気市場が想定される。これまでのように単なるバイ&ホールド(長期保有)とは異なる戦略が必要だ。今後1年間は次のようなポイントを想定した戦略が有効だと考える。

ポイント1.銀行と政府の借入コストの差

現在その差はほとんどゼロだが、この状況は長くは続かないだろう。例えば景気上昇局面では政府歳入が潤沢になり、債券の供給が減少。金利上昇に伴って、資金調達を行う企業は社債を変動金利で発行するといった行動をとるため、借入コストの差が拡大する。

ポイント2.米国イールド・カーブのスティープ化は継続

市場は、イエレン議長が設定する短期金利は今後も長らく低水準が続き、長短金利の差が縮まるフラット化の方向に向くとみているようだ。一方、GAMではスティープ化が数年続くとみており、そのギャップから収益を上げることを試みている。

ポイント3.エマージング債券のバリュエーションは良好

低迷していたエマージング債券利回りは足元で大きく上昇している。しかし、ボラティリティは引き続き高く、特に為替市場のボラティリティは顕著に高くなるだろう。

ポイント4.クレジット(社債)投資がパフォーマンスの源泉に

クレジットは“ガラスの天井”に達したようだ。ハイイールド債券価格は長期平均価格やコール価格を上回るが、100を超える水準にはあまり長くとどまらないといった傾向も見られる。GAMでは、ハイイールド債券の上値が限定される一方で、転換社債には株式市場の上昇に伴うアップサイドが残されていると考える。加えて過去データから、金利上昇局面においてはハイイールド債券をアウトパフォームするといった特徴も見られる。

テーマ(3) エマージング市場債券の見通し

ポール・マックナマラ氏

ポール・マックナマラ氏

インベストメント・ディレクター
ポール・マックナマラ氏

かつての輝きは失われたが、エマージング市場は短期・長期的に見て引き続き魅力的な投資先だと考える。先進国よりも高い成長率を掲げ、かつ、公的債務のGDP(国内総生産)比率は先進国の3分の1から4分の1にとどまる。

魅力はいまだ健在であるにもかかわらず、先進国をアンダーパフォームする要因は、昨年「テーパリング懸念」「中国成長見通し修正」「日本国債利回り上昇」と3要因が重なったため。ところが、これら要因が修正された後もエマージング市場のリターンは低迷が続いている。

2015年は良い年になりそうだが、2014年は吉凶“まちまち”の状態が続くとみる。とりわけ中国経済やコモディティへの依存度が高い国、あるいは経済のリバランスに奮闘する国は見通しが暗く、一方で先進国の回復からメリットを享受する国は回復が期待される。例えば、電子関連などグローバルに競争力を持つ企業を擁するイスラエル、実質上ドイツ経済圏に組み込まれているポーランドやルーマニアなど。昨年堅調だった国に引き続き注目したい。

ポジショニングを見失うことは賢明ではない

エマージングの現地通貨建て債券の利回りは7%台で安定。一方、米国5年債は1%台にまで低下しており、その差は過去最高に。外国人保有比率も25%と、金融危機以降は増加傾向が続いており、株式の保有比率と同程度にまで高まっている。

テーマ(4) 革新的なリスク管理手法を使ったマクロ投資戦略について

チョー・キョン・リー氏

チョー・キョン・リー氏

ポートフォリオ・マネジャー
チョー・キョン・リー氏

今後は運用手法の選別が一層重要になるだろう。そこで有効だと考えるのが、GAMが開発した「予想ドローダウン・パリティ・アプローチ」。世界中すべての金融取引は「リスクの移転」であり、そのリスク負担に伴ってプレミアムが支払われる――との考え方に基づき構築されたアプローチだ。

金融市場はさまざまなリスクの集合体であり、市場の厚みは「流動性」、幅は「リスク・プレミアム」で測れる。「リスク・プレミアム」には(1)プレミアムの支払い、(2)リスクイベントの移転という2つの側面があり、例えば日経平均の場合、昨年末時点で4.2%のプレミアムが認められたものの、これが実現するかどうかというリスクを抱えている。

マーケットを予測する際、大概の市場参加者は過去を振り返るものだが、GAMでは常に「将来」を見据えている点が大きな違い。6年程度のスパンにおける市場の高値・底値を予想するのだが、ダウンサイドを制約することに注力してアップサイドには制限を設けない、ということも大きな特徴だ。

リスク水準を機動的に変更

例えばバブル時。資産の値上がりに気付いた投資家がそこへ集中投資するため、資産が自己増殖を始める。これが行き過ぎると資産価格は急落して「バブル崩壊」となるわけだが、このとき、リスク量が多く見えるために大概の投資家は手を引かざるをえず、資産価格はますます下落する。その後はある時点で回復に転じるも、ボラティリティが高く投資できない状態が続く――というのがこれまでのアプローチだ。

GAMの「予想ドローダウン・パリティ・アプローチ」の場合、バブルが発生してファンダメンタルズ分析が追い付かないときには、資産価格下落の可能性が高まると判断。予想ドローダウンを引き上げ、アロケーションを引き下げる。そしてバブル崩壊して資産価格が急落すると「予想ドローダウンが実現した(資産価格に関してリスクは減少した)」と見なし、ファンダメンタルズの状況を見ながら予想ドローダウンの値を下げることで、いち早く買いを入れることができる。

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